たかが黄昏れ第6話の感想(ネタバレ含む)と考察。ひなたは楓の”一緒に心中してもいい”というセリフに心が揺れる。

第6話

第5話のあらすじ

フェンスを乗り越えて、自然保護区に入るひなたと楓。

 

ここからは人がいない世界、と楓が口にする。

 

目的地までの道中、楓はひなたに100年前の日本の人口について訊ねるのだった。

 

楓は1億2千万人の内、『男』が絶滅してその半分人口を占める女性が6千万人は残るはずなのに、100年後の今では女性が2千万人を切ってしまう勢いで人口が消滅していることと説明する。

 

大量に人が亡くなった理由を、戦争、革命、粛清と挙げる楓。

 

一番多いのは、とまで楓が言ってから、ひなたは自殺と続ける。

 

 

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本当に猪が出るかも、と言うひなたに、楓はひなたが守ってくれるから大丈夫、と答える。

 

ひなたは、楓の事はギリギリまで守るが、結局最後は自分自身で守ることを念押しする。

 

しかし楓は真剣にとりあわず、こわいから手 つないでとひなたにせがむのだった。

 

楓はひなたの左手の小指をぎゅっと掴み、満面の笑みでひなたを見つめる。

 

二人はレンガの敷き詰められた地面に差し掛かる。

 

 

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楓は、現在は道州制だが昔は47都道府県だったと話す。

 

ひなたはふと、楓がなぜ昔のことに詳しいのかと問いかける。」

 

楓は、祖母が反体制だったからかな、とその理由を簡潔に答える。
「元気だった頃に色々話を聞いたんだ。」

 

楓の祖母が若い頃も既に「男」は少なかった。
女性の間では男性を保護する側と、絶滅させることを主張する側の両陣営が生まれる。
保護したい側の祖母の陣営はメンバーの相当数が弾圧されたり投獄されたりしたのだという。

 

様々な困難の中でも、楓の祖母は『男』にまつわる色んな物をモノを隠したのだと楓。

 

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弾圧していた人が死後も「男」を侮辱した説。

 

保護派が「男」の文化保存のために神聖な場所である墓地に置いて破壊を免れた説。

 

楓は、祖母はもう他界しており、さらにはその年代の人は過去の事を喋りたがらない為、結局のところは本当のことはわからないのだと結論する。

 

ひなたは『小便器』に関して、小さくないけど何故『小便器』なのかと疑問を口にする。

 

それを聞いた楓はアハハ、と軽く笑いながら、「小」とはオシッコの「小」のことだと返す。

 

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ひなたは、そんなのわかってる、と返し、楓に具体的に訊ね直す。
「なんで大と小 別けるわけ?」

 

ウヒヒヒ、と笑い、本気で言ってんの? と聞き返す楓。
ひなたは横倒しになっている小便器の上に跨ると、和式なら大も小もこれでいいのに何故別けるのかと楓に問い直す。

 

楓は、『男』は立ってしたの、と答える。

 

 

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ひなたには、楓の回答の意味がピンと来ていなかった。

 

男性用小便器が円を描くように立てられている場所まで移動した二人。

 

楓は、『男』は、あんな風に立ってる便器でしたんだよ、とひなたを諭すように説明する。

 

あれじゃ撒き散らかさない? と楓に食い下がるひなた。

 

『男』にはホースみたいなのついてたの知らないわけないよね? という楓からの問いかけを受け、ひなたは、知ってる、と即答する。
「でも、立ってする動物って見たことないじゃん!」

 

 

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再び、ウヒヒ、と笑う楓。
立ってすることを『立ちション』って言うのだと説明する。

 

「立ちション…」
男性用小便器を眺めながら呟くひなた。

 

しばらく小便器が散乱している光景を眺めた後、二人は学校へ向かって歩き出す。

 

ひなたはさきほど楓との会話が途中で切れてしまったことに言及する。

 

思い出した楓は、おばあちゃんのかくしたお宝をみつけるのが私の夢なのだと答える。

 

楓の目をじっと見つめるひなた。
「わかった。その意思しっかり私が受け継ぐよ。」
ひなたは楓を支えながら一緒に階段を登る。

 

「ちょっと、私まだ死なないって!」

 

階段を登り切った先で、学校のチャイムが鳴っている。

 

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前回、第5話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

第6話

心中

ひなたと楓はようやく校舎まで辿り着いていた。

 

既に2限目が終わっている時間だった為、楓に大丈夫なのかと訊ねるひなたに楓は笑顔を見せる。
「大丈夫 私、優等生なんで。」

 

楓に、自分と一緒に行ったらまたウワサになるが大丈夫か、と訊ねられたひなたは、やましいことはない、と答える。

 

えー、残念、と楓。

 

「やましいこと、したかった?」

 

ひなたに問われ、んー、と一瞬考えてから楓が答える。
「ひなたが望むなら。」

 

「え。」
楓の答えに驚くひなた。

 

「あっホントだ」
楓はひなたの反応を待たずに、何かを見上げて呟く。

 

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楓が見ていたのは旗を掲げるポールだった。
3本あるうちの2本に、途中まで旗が掲揚されている。

 

「まったく気にしてなかったけど、半旗になってたんだねー」

 

二人は、生まれてずっと半旗だったので、これが当たり前だと思っていたと思っていたということを、互いに口にする。

 

さっきの続き、と楓からの視線を受けるひなた。

 

なんだっけ? とすっかり忘れてしまった風のひなたに、楓は、もうっ、と焦れた様子を見せてからひなたに向き直る。
「ひなたが望むなら心中してもいい。」

 

「シン、ジュウ?」
ゆっくり復唱するひなた。

 

楓は心中とは、昔あった好き同士の男女が一緒に死ぬことだと説明する。
「『心』の『中』って書いて、心中。」

 

いい言葉でしょ、と言って、楓はひなたと一緒に校舎へ向かうことを促す。

 

あ、うん、と楓についていくひなた。

 

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教室

楓の教室に辿り着くと、教師は遅刻を怒ることもなく、逆に、猟友会を呼ぼうと思っていた、バス通学できないのか、と心配されるのだった。

 

楓は素直に、ごめんささい、と謝罪し、体調が悪くなったのでひなたが一緒にいてくれたと説明するのだった。

 

「じゃね。」
笑顔で手を振って教室の中に入ってく楓に、ひなたは手を振り返して見送る。

 

自分の教室に向かう為、廊下を歩くひなた。
その道中、ひなたはふとさきほど楓が言っていた”心中”という言葉についてぼんやりと考えるのだった。

 

教室では英語の授業が行われている。
席についているのは前2列のみで、その数は10人にも満たない。あとの席は空いており、教室内はがらんとしている。

 

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教室の後ろの扉からこっそりとひなたが入ろうとしているのに教室の女子生徒の一人が気づく。

 

隣の席の女子生徒と顔を合わせて笑う。
「なんか来た。」

「遅すぎ。」

 

教師はとても汚い英語のスラングを大真面目に解説している。

 

こっそり、自分の前の自分の席までやってきたひなたに教師が、Hey!、と呼びかける。
「Hinata! What time do you think it is!?」
(ひなた! 何時だと思いますか!?)

 

ひなたは机から顔と手だけ出して、good morning、とだけ答える。

 

「No~ That kind language won’t work here, you sit down!」
(違います。その言葉はこの場面で使うものではありません。座って!)

 

そして教師は再び、大真面目に汚いスラングの解説を日本語の解説を交えて続けるのだった。

 

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物思いにふけるひなた

席に着いたひなたは右手で頬杖をつき、左手をじっと見つめていた。
そして、今朝の夢の中で見た手がもっと大きかったことを思い出す。
(つつまれている、安心感…)

 

それに対し、小指を握っていた楓の手は小さく、柔らかかったと比較する。
(守ってあげたい感じ…)
そして、自分のことをじっと見つめて来る楓の視線を思い出す。

(私のこと、好きって事でいいのかな…)

 

ひなたは両手で頬杖をつき、どこを見るともなく見ている。
楓の言った”心中してもいい”というのは、つまり私と一緒に死んでもいいってこと、と考える。
(そんな愛情表現 まだわかんないよ。)

 

ひなたの頭に教師が投げた辞書らしき厚目の本の背表紙がヒットする。

 

その様子を見て、他の女子生徒はバカだ、好かれんねー、とはやし立てる。

 

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ひなたさんあなた、と教師が話しかける。
「海外派兵志望なんでしょ? だったら英語勉強しないと。」

「あなたのお母さんも、流暢に話してたんだよ。」

 

ひなたは頭をさすりながら教師の目を真っ直ぐ見る。
「現地の人に、日本語を教えた方が早いと思います。」

 

そうやって何度も失敗してきたのよ、と教師。
「現地の言葉を使って安心させてコントロールしないとね。」

 

じゃあ先生、とひなたは手を上げる。
「『心中』って英語で何ですか?」

 

「んー Double Suicide. かしら 2人で自殺するってことね。」

しかし教師はすぐに、”心中”は使用禁止用語なのであとで職員室に来なさいと続ける。

 

はーい、とどこか上の空の返事をしながら、ひなたは窓の外の景色に視線を送る。
(2人で自殺かぁ。味気ないな… 『心中』って互いの心の中に入っていくことなのかな。)

(私はそこまで人を好きになれるんだろうか…)

 

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感想

楓の価値観に触れて揺れるひなた

楓が言っていた”心中”は男性保護派として戦っていたという祖母から聞いた言葉だろう。

 

楓は祖母から”昔”の価値観の影響を多く受けていると思われるが、しかしおそらくは大半の女性と同じく男が絶滅した現実を受け入れている。
同性での恋愛において、ひなたをその対象としているようだ。

 

心中してもいいよ、という楓のひなたへのセリフは実質的な告白みたいなものだと思う。

 

余裕のある態度でひなたの知らない価値観を提示していく楓。
初心なひなたはそんな楓に翻弄されているように見える。
口説かれるという経験に、ひなたは揺れていると思う。

 

ひなたはどうしても、夢で見た、女性とは違う存在のことが頭から離れない。

 

彼女の内には、本能で男を求めている部分がある。

 

多分、それは他の女の子も一緒なんじゃないかと思うんだけど、ひなたは世の中の女性同士じゃないとおかしい、という風潮に流されない、意思の強さがあるってことかな。

 

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禁止用語

どうやら男女間の関係を表す言葉は使用禁止用語に指定されているらしい。

 

”心中”の他には何があるのかな……。
普段全然意識してないし、多分そもそもその方面の語彙に疎いから思いつかないな……。

 

1話でひなたが友達のツインテールから言葉遣いを注意されていたのはこういうことだったのか。

 

きっと、どうということもない単語であっても、文脈によって男を連想させてしまうのもダメなんだろうな。

 

今後も事あるごとにこういうシーンが出てくるのだろう。

 

どうやらひなたの生きている世界は、男性保護派よりも排除しようと画策していた勢力の方が力を持っている印象を受ける。

 

二つの派の間で決着がついたというより、最後の男が死んでから保護派の存在理由が失われた結果、という感じがする。

 

一見、現在の日本と変わらないように見えるんだけど、ディストピアもいいとこだよなぁ。
男を独占しようとしたり、排除しようとしたり、その過程でどんどん人が死んでいったってことでしょ?
一体何が根本原因だったんだろうな……。

 

男が数を減らしていった理由は病気か何かのような気がする……。

 

 

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海外派兵

海外派兵って、一体どこに行くんだろう……。
戦いに行くのかな……。それとも既に海外に支配下においた領域がいくつかあって、そこに駐留するのかな。
平和ボケしてる自分からしたら非常にきな臭い単語が普通に使われている世界観に軽く戦慄する。

 

そしてひなたはなぜ海外派兵を望むのだろう?
考えてみたけど、多分、お母さんのたどった道を目指しているとか?。

 

”流暢に話してたんだよ”と教師が過去形で言っていたのは、やはりもう亡くなっているということ?
で、それなりに名の通った人だったのではないだろうか。

 

自宅にはひなたと、妹の若葉と、まだ姿は出て来てないけど老いた祖母しかいないようだし……。

 

たかが黄昏第7話のネタバレを含む感想と考察でした。

第7話に続きます。

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