第13話
食事処で思わぬ遭遇
橘社長が生まれ育った土地へ車で向かう春野。
橘の本籍の住所まで距離があるため途中の食事処に寄る。
店の中は賑わっており、春野は遠慮気味に人差し指を立て、一人である旨を店員に告げる。
「待つ感じですか?」
店員は席の状況を確認し、相席で良ければ、と春野を案内する。
春野、五十嵐とバッタリ遭遇
すみません、と案内された席につくと目の前には五十嵐がいる。
思わぬ形で再会した春野と五十嵐は互いに驚く。
注文を取りに来た店員に春野は五十嵐が食べている定食と同じものを頼む。
刑事の荒田が五十嵐が春野と向かい合って座っている事に気付き、小阪に、なぜ五十嵐がここにいるのかと電話をする。
電話を受けた小阪は逆に男性刑事に向かってなぜここにいると逆に質問をする。
五十嵐は呆れてた様子で、また独自に調査しようとしているのかと春野に質問をする。
春野は、刑事さんも? と質問を返す。
私は独自ではないと答える五十嵐。
仕事は大丈夫なのかという五十嵐に春野は大丈夫だと答える。
五十嵐は、気持ちはわかるが、とやんわり春野を止めようとするが、春野は五十嵐の言葉を遮るように答える。
「気持ちがわかるなら止めないで貰いたかった」
春野から目を逸らし、五十嵐は刑事としては止めざるを得なかったと言い訳をする。
「逃がしてしまったこと自体は謝ります」
春野は五十嵐を若干気の毒そうな目で見ている。
「本当に…不甲斐なくて…すみません」
食事を終えた五十嵐は春野を残し店の外に出る。
電話をしていた男性刑事が五十嵐に気付き、その名を呼ぶ。
荒田さん、と返す五十嵐。
遠くまでお疲れさまですと挨拶する五十嵐に、荒田はホントだよ、と返す。
手に持っていたスマホを五十嵐に差し出す。
「主任だ」
小阪は電話口で五十嵐に対して荒田はこちらの捜査に戻すと言い、春野の見張りも頼むと従来の任務に仕事が上乗せされる。
驚く五十嵐に小阪は春野が橘社長の過去を調べにきたと推測し、一緒に行動して見張りも兼ねろと命じる。
「一緒にって…どうやって…」
五十嵐はスマホ越しに必死に問いかける。
電話が切れ、五十嵐は、どうやって、とため息をつく。
「色仕掛けとか」
荒田の冗談に五十嵐は冷たい目で睨みつけて応戦する。
すまん、と謝る荒田。
春野のスマホが鳴る。
真人からの連絡で春野は、葵は検査の結果早期の乳がんであるとLINEで報告を受ける。
発見が早いので大丈夫だと続ける真人。
「春野さん」
五十嵐は、食事を終えて店から出てきた春野に近づいて声をかける。
橘社長の田舎に関する情報は本籍だけしか知らないのでは、と言う五十嵐に春野は、そうだと肯定する。
本籍の住所に行っても何も分からないと告げる五十嵐。
橘社長の両親はそもそも橘とは絶縁状態で、何より両親共々既に亡くなっていたと続ける。
そうなのかと言う春野に、五十嵐は高校自体の担任だった人に聞き込みに行くが付いてきたら一緒に話が聞けると提案する。
「え…いいんですか?」
意外そうな反応をする春野に五十嵐は、うろちょろされるよりは、と答えて車に戻っていく。
海沿いの道を車で飛ばす五十嵐。
後を同じく車で追う春野。
五十嵐はバックミラーで春野の車がきちんと付いて来ているかどうかを確認する。
駐車場に停車する二人。
「ここから歩きます」
五十嵐が春野に告げる。
二人で道を歩いていく。
お互いに笑う
(社長はこの海を見て育ったのか…)
春野は海を見て物思いに耽っている。
風が吹き、五十嵐の髪が春野の顔面を叩く。
謝る五十嵐に、春野も謝ることがあると返し、あと感謝も、と付け加える。
五十嵐が来なかったらエンドに飛び掛かる隙も出来なかった、と理由を言い、ありがとうございました、と感謝の言葉を続ける。
「五十嵐さんが来なければ全員殺されていたかもしれない」
それと謝罪のほうは…、と少し切り出しづらそうな春野。
はい、と相槌を打つ五十嵐。
「手を上げてすみませんでした。つい…あの時はカッとなってて」
「手を上げる?」
意を決したように謝罪する春野に五十嵐は不思議そうに尋ねる。
「春野さんに暴力を振るわれた覚えはありませんけど?」
春野は、あの時手首を思いっきり掴んだから痛かったんじゃないかと、と答える。
あー…、とそれまで全く気にしてなかったことを思い出した五十嵐。
春野は、女性には手を上げたこと無かったんですけど、と手を後頭部に当て神妙な面持ちで謝罪する。
「すみません。」
五十嵐はそんな春野を暫く見つめた後、いきなり左手で春野の右手首を掴み、ギュッと力を込める。
「痛でっ!?」
春野は唐突な苦痛に思わず大きな声で痛がる。
「大丈夫ですよ」
五十嵐は笑みを浮かべる。
「私のほうが力は強いので」
きょとんと五十嵐の顔を見たあと、春野は笑う。
「はははははははは」
「なんだそれ」
五十嵐は春野が笑うのにつられたように春野と一緒になって笑う。
その時、唐突に春野の脳裏に、花で満たされた棺の中の橘社長の顔が思い浮かぶ。
春野から笑いが消え、それを感じた五十嵐もまた笑いを止めて春野の表情をじっと見ている。
「俺が…俺が先にエンドを見つけたらたぶんまたああなる」
春野は続ける。
「自制する自信はない」
五十嵐は、ええ、と静かに相槌を打つ。
「だからって必ず殺したいわけじゃない」
「捕まるんならなんだっていい」
春野はお願いします、と歩き出す。
五十嵐は少し沈黙し、何かに気付いて春野を呼び止めて正しい方向を指さす。
階段を降りるていく春野。
「……理由が――」
階段の上にいある五十嵐が春野に声をかける。
「春野さんを止めた理由はもう一つあります」
個人的な理由がもう一つ、と続けてその内容を軽く話し辛そうに始める。
「思いのほか…橘さんの自宅の前で春野さんと話したことが私の支えになっています」
「その 春野さんに…なんというか…変な言い方になりますが」
目を閉じて、軽く覚悟を決めて本心を切り出す五十嵐。
「穢れてほしくなかった」
五十嵐は階段を降り、春野の隣を通り過ぎる。
「これは私情なので忘れてください」
すぐそこだと五十嵐がアナウンスする。
思い出したように五十嵐は春野に質問を始める。
「そういえば『女性には手を上げたことない』と言いましたけど男には?」
えっ、と虚を突かれる春野。
「警察には…話しません」
捜査本部で動き
エンド連続殺人捜査本部。
「”仮面の男”のDNAに一致する者が見つかった」
エンド捜査本部で捜査員の一人が報告し、付け加える。
「エンドに殺された者の中からな」
死者…? と他の捜査員は怪訝そうな表情をしている。
以上、ルートエンド第13話のネタバレ感想と考察でした。
ルートエンド第14話感想
次回14話に続きます。詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。
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