九龍ジェネリックロマンス 第12話
第11話
第12話 感想
蛇沼製薬の役割とは?
来ました蛇沼製薬。
第1話から固有名詞の一つとして登場していたけど、いよいよ次回にも、この看板の男が物語に出てくる?
それとも工藤さんがこの男に関してあまり快く思っていないっぽいその理由が明かされるのだろうか。
どことなく蛇っぽさを感じるんだよなあ。
とびっきりの笑顔の裏に何か野心、野望を抱えている印象を受けてしまう。
鯨井さんは別にこの男に対して特に何も感じていないようなんだけど、工藤さんは嫌いっぽい。
これって本当にただ何となくの印象だけで決めてたりして。
工藤さんの性格からして、たとえ会ったことがなくともビジュアルから何となくいけ好かないと思っている可能性も全然あると思う。
蛇沼製薬という企業に関して1話の時や、今回の宣伝のやり方からもそこはかとなく感じるのは、おそらくこの企業がそれなりに大きく、儲かっているであろうということ。
鯨井さんが目薬を使っていたけど、今回出てきた看板には「蛇沼総合medical中心」というコピーから、進出している分野が非常に広いことがわかる。
そしてヘリコプターからのチラシには九龍住民に対して無料健康診断の案内をしているのはかなりの太っ腹だ。
そして看板の上空に浮かぶジェネリックテラ……。
蛇沼製薬が建造に関わっているのか?
そしてジェネリックテラの下に住む九龍住人に対して何かしらの健康被害を及ぼしていたりするとか?
それをきちんと調査するために九龍住人に無料健康診断をすすめていると見るのは穿ち過ぎ、邪推し過ぎなのだろうか。
1話時点では何かパニック的な展開や社会に深刻な事態が生じて日常が崩れるようなハードな話だとは思っていなかった。
でも鯨井さんの記憶がなく、アイデンティティがぐらぐら揺らいでいる様子からこの作品がシリアスな展開を内包しているとわかる。
この話の「SFの世界を舞台にした恋愛ストーリー」という側面はこれからも変わらないだろう。
そこにどんな要素が付加されていくかが非常に楽しみだ。
未知なものに対するスタンスの違い
決まったものしか食べたくない、知っている道しか通りたくない工藤さん。
そして、そんな工藤さんを困らせたいという微かなイタズラ心もあるだろうが、鯨井さんは知らない道へと工藤さんを誘う。
何とも象徴的なシーンだと感じた。
鯨井さんはこれから自分を知ろうとしている。
工藤さんが食べたことがないであろうレモンチキンを強情になってすすめたり、知らない道を選ぶなど、未知のものに向かって突き進んでいく。
それに対して工藤さんは既存の食べ物、知っている道以外に拒否反応を示している。
強迫的な動機があり、病的なまでに避けているというわけではないのはわかるが、少なくとも気分的には全く乗らないのだろうなということは十分に伺える。
これは工藤さんが過去にこだわっていることを彼の何気ない行動から暗に示しているのではないか。
過去とはつまり、かつての恋人だった鯨井さんのこと。
彼女の記憶が自然に戻るのを待っているのか、それとももうそれは諦めていて、現在の鯨井さんとはあくまで同僚であろうとしているのか。
それでも、鯨井さんの容姿や好み、そしてたばことスイカという妙な食い合わせ(?)などからかつての恋人の面影を見出してしまう……。
つまり鯨井さんが、工藤さんが明らかに進むのに躊躇している道へと誘ったのは、現在の自分を直視してくれない工藤さんの目を何とか自分に向けさせようとしている鯨井さんという構図になるのではないか。
いつも食べる店、天天飲食店か、レモンチキンかでじゃんけんするというコミカルなシーンもそんな二人のせめぎ合いを象徴しているのかなと思った。
色々と妄想したが、それだけ楽しめているということ。
それに2週に1度の掲載で次の話が待ち遠しいからこそ、余計に色々と妄想してしまうんだろうな。
果たして次回はどうなるのか。楽しみだ。
以上、九龍ジェネリックロマンス第12話のネタバレを含む感想と考察でした。
第13話に続きます。
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