九龍ジェネリックロマンス 第11話
第10話
第11話 感想
楊明さん
おお~、前回鯨井さんが元気づけてもらっていた、以前ぬいぐるみ作りまくってたお姉さん楊明(ヨウメイ)さんと交流するようになったのね。これは鯨井さんにとって間違いなく良かったでしょう。
楊明さんは鯨井さんをレコぽんとあだ名で呼び、鯨井さんは楊明さんを呼び捨てで呼べるくらいに仲良くなったようだ。
前回の楊明さんの鯨井さんに対する振る舞いは人間として素晴らしかったからな~。鯨井さんが一定の信頼を置いて当然と言えるだろう。
これまでの話の中で鯨井さんが知人と呼べるのは工藤さんと所長以外には、かろうじて小黒ちゃんくらいだったように思う。
それ以外には付き合いはなく、人間関係がかなり希薄であるように見えていたので、工藤さんには出来ないような話を聞いてもらえる楊明さんの存在は鯨井さんの助けになりそう。
彼女は良いキャラだし、今後も鯨井さんの友人として、そして相談役として定期的に物語に出てきてくれそうだ。
記憶喪失?
写真に写っている鯨井さんと工藤さん。
しかし鯨井さんにはその写真を撮った覚えなどない。
ましてや写真の中の自分と工藤さんの距離感が親密で、今の自分と工藤さんの間柄とはまるで違う。
この矛盾について楊明さんが出した仮説は、鯨井さんと写真の中の鯨井さんは同一人物であり、鯨井さんは写真に写った頃の記憶を失っている可能性があるということだった。
記憶喪失というのはフィクションにおいてよく用いられるギミックだから、ある意味身近なのですぐに思い当たりやすい仮説の一つではある。
ただ、記憶喪失とは比較的身近なキーワードである反面、現実では記憶を失うのは中々珍しい事態だと思う。
とはいえ、鯨井さんの置かれた状況に納得できる原因を探そうとすると、やはり楊明さんの言った”鯨井さん記憶喪失説”もアリになってくるんだよなぁ……。
自分はこの漫画がSFの要素を含んでいるので今のところ現在の鯨井さんはクローンという説を推しているが、シンプルな”記憶喪失説”の方が現実味があると思った。
まだ作品中でクローン技術を示唆するような表現や描写は見つけられていない。
ぶっちゃけ、九龍の街の上空に”ジェネリックテラ”なる浮遊物体を建造できるだけの技術力があるならクローンもいけるでしょ! くらいの大雑把な考えが根拠でしかない……。
存在意義
しかし仮に記憶喪失、もしくはクローンのどちらであったとしても、鯨井さんが今回楊明さんとの会話の中で感じたように、自分の存在意義が揺らぐ事態であることに変わりはないことになる。
鯨井さんにとっては、写真に写っている自分と現在の自分は全く違う人物だ。
仮に楊明さんの言う通り鯨井さんが記憶喪失中であり、写真の自分と現在の自分が同一だと判明したとしても、工藤さんが好きなのは写真の中の自分であって、今の自分ではない。
そう思ってしまうと、仮に工藤さんと付き合うことになったとしても釈然としないものを抱えたままになってしまうことは想像に難くない。
工藤さんが好きなのは過去の自分であり、今の自分ではないというのはあまりにも悲しすぎる。
果たして、工藤さんは鯨井さんとどう接していこうとしているのだろうか。
楊明さんの言う通り、工藤さんは鯨井さんに記憶が戻るのを待っているのか?
それともクローンとして復活したものの、自分のことを覚えていない鯨井さんにどう接していいか戸惑っているのか。
仕事場で、同僚として、二人はかなり仲が良いというのは伝わってくる。
しかし工藤さんから鯨井さんへの好意は、それっぽい表情が垣間見えたことはあるくらい。工藤さんが鯨井さんを見つめる視線からは、何か好意とは別の感情が多く含まれているように思えてならない。
ひょっとして、第1話から工藤さんが言及してきた”なつかしさ”がその正体なんじゃないかな……。
だとするとやはり鯨井さんはかつての恋人だった自分との記憶を失っているということなのか。
早く真相を知りたいが、ゆっくりと進む物語を味わい尽くしたいという思いもある。
世界観的にまだ色々とギミックがありそうだし、今後も期待したい。
次回が楽しみ。
以上、九龍ジェネリックロマンス第11話のネタバレを含む感想と考察でした。
第12話に続きます。
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