響 小説家になる方法 最新第82話騒然の感想(ネタバレ含む)と考察。マスコミの前で繰り広げられる響VS藤代。その代償は……。

第81話

第81話のおさらい

加賀美大臣を殴りつけた響の行動に、騒然とする会場。

 

SPが加賀美大臣の元に駆け付けようとするSPだったが、加賀美大臣の制止を受けて足を止める。

 

そして加賀美大臣は北島に視線を送る。意図を理解した北島は、隣に立つリカにICレコーダーを手渡すのだった。

 

加賀美大臣はデータを返却したと響に告げ、30秒だけ自分の言うとおりにすれば響の警護はする、と条件を提示し、会場の出席者たちに向き合う。

 

「素晴らしい! 若者かくあるべし!」

 

加賀美大臣は、響の『11月誰そ彼』に関して響の表現したいことと自分のの受け止め方のズレをきっかけに議論になったと言い訳を始めるが、響は必死に場を取り繕おうとしている加賀美大臣の言いつけを容易く破り、ステージから降りていく。

 

呆気にとられている加賀美大臣に響は、自分の作品を読んでいないと看破する。

 
 

スポンサーリンク



 
二人の間に生じている異常事態に気付く記者たち。

 

小説を読んでないなら用はないと言い、響は呆然と立ち尽くす加賀美大臣を背にステージの脇に歩き始める。

 

響はあっという間にマスコミに囲まれる。

 

そこに文化連会長の前橋が駆けつけ響を守るようにマスコミの前に立ちふさがる。

 

マスコミ各社は大臣が女子高生に殴られるトラブルが発生したことと伝え始めていた。

 
 

スポンサーリンク



 
会場の会議室Aに前橋会長と他の文化連のメンバー二人、そして響とリカの5人が集まっている。

 

前橋会長たちは響とリカの説明により、加賀美大臣により響が『響』である証拠を盗撮された結果、ステージ上での騒ぎが起こったことを理解した。

 

これ以上ここにいても意味がないと帰る響。

 

リカは私は話があるから残る。

 

響が出て行ったあと、リカは会長たちに、響の『11月誰そ彼』に与えた最優秀賞を取り消して欲しいと切り出す。

 
 

スポンサーリンク



 
会場から出た響は、入れ違いに会場に到着しようとしていた報道陣とすれ違う。

 

大臣を殴った女子高生に関してインタビューされる響だが、完全に無視してやり過ごそうとしていた。
そこに突然、藤代琴子が響の頬に痛烈なビンタを張る。

 

マスコミは一瞬その光景に呆気にとられた後、盛んに写真を撮り始める。

 

響は藤代に向けて反撃しようとする。

 

「アンタ一体何がしたいのよ!」
響に気圧されることなく響に向けて叫ぶ藤代。

 

響は拳を振りかぶり藤代を見つめる。

 

前回、第81話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

スポンサーリンク



 

第82話 騒然

進行する表彰式

ホールでは表彰が続いていた。

 

司会に名前を呼ばれた典子が元気に手を上げて返事をする。

 

その様子を見てスタッフはなんとか式が無事に続けられそうだと呟く。

 

隣のスタッフが、無事? と聞き返し、ここまで響が大臣を殴ってホールの外に連れ出されたことや、優秀賞を獲った藤代が賞をもらったあとすぐに会場の外に出て行ったと振り返る。

 

三年連続で受賞と文芸コンクールに真剣に取り組んでいた藤代の気持ちを慮り、複雑だろうな、とやりとりする二人のスタッフ。

 

「……もし藤代さんが鮎喰さんと外でバッタリ会ったりしたら…」

 

さすがに何もないだろ、というツッコミに、もう片方のスタッフはひっぱたくくらいして欲しいと答える。

 
 

スポンサーリンク



 

応酬

会場の外では藤代と響が一触即発状態で向かい合っていた。

 

藤代にひっぱたかれた響は反撃すべく拳を振り上げている。

 

その周りにはマスコミがカメラを構えて立っている。

 

藤代がいきなり殴ったのを見たマスコミは、大臣を殴ったのが藤代かと口々に呟く。

 

確か鮎喰という生徒だと答える女性記者。

 
 

スポンサーリンク



 

「アンタなんでここにいんのよ!」
藤代は響に強い口調で啖呵を切る。
「あれだけのことしておきながらこそこそ逃げるつもり!?」
何があったのか説明の上、謝罪するのが筋だと響を責め立てる。
「ホラ言いなさいよ! なんで」

 

バシィ

 

響のビンタが藤代の頬に炸裂する。

 

その瞬間をしっかりと写真に収めるマスコミたち。

 

「あなた誰?」
殴った後、響は藤代にさらっと問いかける。

 
 

スポンサーリンク



 

藤代は響に殴られた頬を手で押さえて、思いつめたような表情をしている。
響と目を合わせることが出来ない。

 

響は加賀美大臣が仕返しに来たのかと思ったと言い、何故、藤代に殴られたのかと問いかける。

 

藤代は地面に視線を落としたまま、なんで大臣を殴ったの、と呟く。

 

そのセリフを聞いたマスコミはようやく大臣を殴ったのが青いブレザーを着ている響だと理解する。

 

良い絵が撮れる絶好のチャンスを捉えるため、携帯電話でカメラを要請する女性記者。

 
 

スポンサーリンク



 
「言えない。」
響は藤代の質問に答えるのをシンプルに拒否する。

 

その言葉にカチンと来た藤代は、もういい、と響の元から去ろうとする。

 

その藤代の手を掴んで力任せに引き寄せる響。
藤代の目を見ながら再び問う。
「私はどうしてあなたに叩かれたの?」

 

思いがけず修羅場に遭遇したマスコミは夢中でシャッターを切り続ける。

 

響は逃がすまいと掴んだ藤代の手首にさらに力を入れ、藤代を無言で睨み続ける。

 
 

スポンサーリンク



 
その威圧感にとうとう泣き出した藤代だったが、響と目を合わせることは出来なくても目に力を入れて答え始める。
「……式をこわしたでしょ。」

 

「ああ、あなた会場にいたの。」
何の悪気もなく、あっさりと言い放つ響。

 

パァン

 

藤代は口を真一文字に結ぶと、もう片方の手で響の右頬を張る。

 

どよめくマスコミ。カメラのシャッター音が鳴る。

 

バシ

 

響が再び藤代の頬を張り飛ばす。

 
 

スポンサーリンク



 

「っ………」
辛そうに目を閉じる藤代。しかし今度はすぐに、アンタ何なのよ、と響に言い返す。
そして藤代は、最優秀賞を獲ったとはいえ今日の式は高校の文芸部で最も大きな賞であり、響のためだけのものではない。そして大臣と意見が合う合わないは式の後でやればいいと主張する。

 

「周りの人の気持ち考えたことあんの!?」
必死に響に訴える藤代。

 

響はじっと藤代を見つめた後、若干伏し目がちになり力なく呟く。
「……あんまりない。」

 

「…最っ低!」
吐き捨てる藤代。

 
 

スポンサーリンク



 
「今日の式を大切にしてる人がいるなんて思わなかった」

 

パン

 

その響の言葉に藤代は怒り、響の頬を張る。

 

藤代に頬を張られた響は、今度は反撃することなく項垂れながらぽつりと呟く。
「ごめん。」

 

そんな響の態度に一瞬きょとんとした後、怒りに顔を歪める藤代。
(……最悪。開き直って謝って、そしたらこっちが何も言えなくなると思って。)

 

二人のやりとりを野次馬として見ていた記者が隣の記者と、大臣を殴った学生は体格はあれくらいで、高二で、名前が鮎喰響と確認し合う。

 
 

スポンサーリンク



 
ひょっとしたら『響』なのかと思いつつ、しかし高校生の文芸コンクールに出ている意味がわからず戸惑う記者たち。
高校のコンクールだったから大臣を殴るという状況はむしろあり得るのか、と色々考えるのだった。

 

「あの…っ!」
一人の女性記者が訊ねる。
「鮎喰さん! あなた芥川・直木をとった『響』じゃないよね?」

 

その記者からの質問に不意を突かれ、え? と呟く藤代。

 

「あなた名前は?」

 

藤代は響からの質問に、聖メアリー女学院の藤代琴子と答える。

 

「琴子、あなたの小説よませてもらうわね。」
響はどこか晴れやかな表情でそう言うと、じゃあね、と踵を返して歩き始める。

 
 

スポンサーリンク



 
「ちょっと鮎喰さんっ!」
女性記者が響に声をかける。

 

その隣のカメラマンは、いくらなんでも彼女が響とは考え辛いと返す。

 

藤代は響の背中をじっと見つめる。
すると、芥川賞直木賞の受賞会見に出席した、大きなコートに身を包んだ『響』の後ろ姿と去り行く響の背中が重なる。

 

「あなたって『響』なの?」

 

藤代からの質問を受け、響は振り返る。

 

周りには固唾を飲んでその答えを待つマスコミたち。

 
 

スポンサーリンク



 

空気を読まない藤代

響は藤代につかつかと至近距離まで近付き、顔に顔を寄せ、ぽそっと呟く。
「うん。」

 

周りにいるマスコミたちには響の言葉が聞こえてないなかった。

 

響が『響』であるはずがないと自分に自分たちに言い聞かせている。

 

藤代から離れていく響。

 

藤代は呆然とした様子で響の背中を見つめていた。

 

「私『お伽の庭』大好きです!」
思いっきり大声で響の背中に呼びかける藤代。

 
 

スポンサーリンク



 
「認めた!」
途端に動き出す女性記者。

 

「『響』だ!」
若い男性の記者も同時に動く。

 

その場にいたマスコミたちは一斉に動き始める。

 

響は一発藤代の脳天に思いっきり拳骨を落とした後、脱兎のごとくその場を逃げ去る。

 

「逃げた!」

 

「捕まえろ!」

 

逃げる響を追いかけ始めたマスコミたち。
響を追いかけながらも口々に響を引き留めようとする。

 

「速っ!」
響の逃げ足の速さに驚く記者もいる。

 

「もしもし! 表に人まわしてくれ! 北瀬戸の鮎喰響が『響』だ!」

 
 

スポンサーリンク



 

受賞取り消し

会議室Aでは、リカが文化連のメンバーたちに賞の取り消しを迫っていた。

 

メンバーの中年男性は規定ではもう受賞の取り消しが出来ないと答える。

 

しかしリカはすかさず、例外を作りましょう、と返す。

 

響だけを特別扱いできないという前橋会長。

 

「だから!」
大きな声で委員たちの注意を引くリカ。
「響ちゃんがどんな子かはわかってもらえましたよね! あの子がメディアに晒されてどうなるか本当にわかんない。」
少なくとも今までのような高校生活は絶対に送れない、と付け加える。
「どんな賞をとろうとどれだけ才能があろうと、あの子もいち高校生です。他の子と形は違うかもしんないけど、響ちゃんの文化活動も応援してください!」

 
 

スポンサーリンク



 
リカの必死の訴えに聞き入る委員たち。

 

前橋会長はリカに、自分は会長で、他の二人は副会長だが何でも決められるわけではない、と前置きしつつも、今日は選考委員が皆集まっているので、式が終わったあと響の行為について会議を開き、その場で『11月誰そ彼』の受賞取り消しを提案すると答える。

 

「ありがとう。」
礼を言うリカ。

 

前橋会長は響の事を隠すにも限界があると忠告するが、リカは高校の間隠せれば、響が卒業するまでのあと一年くらいは何とかなる。その後はどうとでもなると答える。

 

「…そうですね。」
前橋会長は、陰ながら支援します、と続ける。

 
 

スポンサーリンク



 
その時、リカのスマホが鳴る。
ちょうどいい、と言って電話に出るリカ。
「ふみちゃん? ちょうど今、」

 

「リカ!」
花井はリカの言葉の続きを聞くことなく一方的に話し出す。
「『響』の素性は北瀬戸の鮎喰響かって問い合わせが殺到してんだけど!?」
花井は他の社員に囲まれている。

 

小論社の編集部では電話が鳴り響いている。

 

「はっ!?」
リカは花井の報告に言葉を失う。

 

さらに会議室Aのドアが開き、スタッフからの報告が上がる。
「すいません! 今報道の人達が、大臣殴った鮎喰響は『響』だって大混乱で!」

 

「は?」

 
 

スポンサーリンク



 

感想

テンション最高潮! この先どうなる?

面白くなってまいりました!

 

いや、正確には表彰式始まってからこっち、既に読んでてわくわくがとまらず先が気になってテンション上がりっぱなしなんだけど、ここにきてそれらが最高潮になった! というのが正しい。

 

結局リカの努力は水の泡。マスコミに嗅ぎ付けられてもう事態は完全に収拾不可能。

 

このままでは、もう響には当分の間、平穏な日々は戻ってこないだろう。

 

以前も週刊誌の記者に嗅ぎ付けられたことがあったけど、その時は記者をタイマンで脅す事で何とかスクープを潰すことができた。

 
 

スポンサーリンク



 
でも今回は絶対無理だ。むしろそんな力技を行使しようとしたら逆により一層記事が面白くなって報道が過熱してしまう。

 

もうこの状況をひっくり返す事など出来ないだろう。一発逆転の妙案なんて思い浮かぶ?
説得力のある、そんな奇跡のような一手を考え付いたらマジで天才でしょ。

 

とにかく、ついに響にとって恐れていた事態が起こってしまったわけだ。

 

やはり加賀美大臣が言った通り、響が『響』であることがバレるのは時間の問題だったようだ。
それも思ったより早くバレてしまった。正直、今回もギリギリでバレずに終わるのかと思っていたのに……。

 

この展開は全くの予想外だったわ。

 
 

スポンサーリンク



 
そりゃ可能性としては十分にあっただろうけど、『響』の正体がバレるというのはこの物語を構成する大きな訴求力の一つを失ってしまうのではないかとちょっと心配だったりする……。

 

でもバレた後は何が待ち受けているのかを考えるとワクワクするのも事実。

 

だって前人未到の芥川賞直木賞W受賞、しかも女子高生だよ?
世間の耳目をまた一気に集めるだろうし、間違いなく報道はヒートアップする。
その時、一体響やその周辺に何が起こるのか、想像がつくようで実は細かいところはあまり思い浮かばないんだよなぁ。

 

加えて響の行動がね……。今回、マスコミがシャッター切りまくってるのに全くそれらを意に介さず藤代にビンタしまくってた。
そもそも最も注目を受ける瞬間によりにもよって文部科学大臣を殴るわけだから、大概の行動は起こしても不思議ではない。それを可能にしているのは”クソ度胸”ではない。

 
 

スポンサーリンク



 
響には、やると決めたらやり遂げる凄みがある。

 

自分の言葉を決して曲げない超がつく頑固者だ。

 

だからこそ響はこれまで生きてきた中で(日常生活の中で)、独特の感性を培ってきたと言えるのかもしれない。

 

口先だけでいいから自分は響じゃないと嘘を言っていたなら、また状況は違ったかもしれない。
マスコミも最後まで響のことを疑っていた。

 

響はたとえどんな状況であっても嘘をつくのが嫌なんだな……。

 

それが弱点であり、しかし響の感性を構築する上でとても重要なファクターなのだろう。

 
 

スポンサーリンク



 

思いがけず良い働きをする藤代

友達曰く内弁慶だという藤代琴子は、今回物語を盛り上げる上ではとても良い働きをした。
てっきりかませキャラかと思ったらここまでやってくれるとは……。

 

途中、響に殴られて泣いちゃったあたりは藤代が可哀想で見てられなかったけど、今回、響やリカ、花井にとっては隠していた『響』の真実が白日の下に晒されたのはそんな藤代の行動がきっかけだった。

 

響とビンタの応酬を経て泣きはらしていたけど、最後には響をやりこめたのは思わぬ殊勲だったな。

 

藤代の心の叫びは見事に響を説得した。
名前を聞いた直後の藤代の呼び方もいきなり”琴子”だし、響は完全に藤代を認めたようだ。

 
 

スポンサーリンク



 
小説よませてもらうわね、と言った時の響の表情は爽やかで良い感じなんだよなぁ~。

 

ここで終わっても良かったけど、最後で一波乱あった。

 

こっそり『響』だと告げられて、思わず”私『お伽の庭』大好きです!”って空気読まずについ言ってしまうあたり、根っからの文芸ファンだと思う。
全く思考を通さず、反射的に言ってしまってるように見える。

 

最後に響に頭に拳骨落とされてるのも笑ったし、今後も出てくれると嬉しいんだけど、学校が違うとさすがに頻繁には無理なのかな……。

 

とにかく先が気になる。一体次からの展開はどうなってしまうのか。

 
 

スポンサーリンク



 
少なくとも響には何も策がないのは明らかだ。

 

ひょっとしたらリカと一緒に海外へ行くとか?

 

次の号は二週間後なので助かる。
でもその次は三週間だったはず。それ考えると今からちょっと憂鬱かも……。

 

以上、響 小説家になる方法 第82話のネタバレを含む感想と考察でした。

 

第83話に続きます。

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA