響 小説家になる方法 最新第111話憧れの人ネタバレ含む感想と考察。IELTS試験会場で響に気づくおじさん。おじさんは響のファンだった。

第111話 憧れの人

第110話のおさらい

花井、海老原、坪井の雛菊編集部員たちは、創刊号の売れ行きが好調で、一万部の増刷が決まったという報告に沸いていた。

創刊号と言うことで、他の文芸誌の三倍となる三万部刷っていたが、それにも関わらずさらに一万部の増刷がかかったことは快挙だった。

営業からの、漫画『お伽の庭』掲載の週刊スキップも五万部の増刷がかかったと追加報告を受け、雛菊の創刊部数より多い、と海老原。

 

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北瀬戸高校では文化祭が行われていた。

響が通っている高校だとバレていたため、文化祭に訪れる客の数は例年よりも三倍以上となっていた。

文芸部部室の前には響を一目見ようと集まった客で溢れかえっている。

部室内で、ヒロトと望唯は扉に鍵をかけて、外の様子に聞き耳を立てていた。

二人は外の熱気を感じながら、改めて響の影響力の大きさを実感する。

しかし実際に会話してみれば普通の高校生だと、響があとわずかな期間で卒業となることを望唯とヒロトは惜しむのだった。

 

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響目当てに香川からやってきた金髪の若い女、浜中みき子は、響が見当たらずにイラついていた。

インスタに響とツーショットを載せることでフォロワーを一気に増やそうとの目論見が叶わず、焦っていた。

ベンチに腰を下ろすと、隣に看板を持って文庫を読んでいるウサギの着ぐるみがいることに気付く。

浜中はウサギが響と同級生であることを知り、響スポットの案内を頼み込むのだった。

 

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ウサギは浜中を図書館、教室、屋上と次々に響に縁のある場所を案内していく。

浜中は特に疑問を覚えることなく、順調に写真を撮ってはインスタに投稿していくのだった。

あと少しで卒業を控えているウサギに、高校生の頃は社会に出て何にでもなれると思っていたけど、それは間違いだったと言う浜中の愚痴を、ウサギは黙って聞いていた。

インスタをチェックした浜中は、響スポット巡りへの反応が上々なことで、響に会えなくても来た意味はあったと喜んでいた。

ウサギはそんな浜中に、インスタで褒めてもらうのってそんなに楽しいの? と質問する。

楽しいと即答する浜中。
今の目標はインスタで天下をとることだと答える。

 

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「インスタって才能はいらないの?」

浜中はウサギの質問に、いらんのちゃう? と答える。
「こんなの写真載っけるだけっしょ。」

「まあ、向いてなかったらそん時また考えるよ。やっぱ高校時代超えたいし。」

その返答に、なるほど、とウサギは納得する。

浜中から『お伽の庭』とペンを差し出され、響からサインをせがまれたウサギは、ペンを手に塗って『お伽の庭』の表紙に手形を押す。

しかし浜中は、響はサインなどしないだろう、納得し、『お伽の庭』の表紙を撮影するのだった。

浜中と別れた後、ウサギはおもむろに着ぐるみの頭部を取り外す。

「卒業か……」
着ぐるみの正体は響だった。

前回、第110話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

 

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第111話 憧れの人

試験後の響を追うのは……

IELTS試験会場。

受験者の中に、響が混じっていることに気づいたのは同じ受験生のおじさんだった。

試験1日目が終了し、響が電話の相手と会話しながら歩いている。
そのあとを一定の距離を保って追うおじさん。

最新作の『青の城』も含めて響の作品の全て読んでいたおじさんは、彼女に話しかけたいと思っていた。
そして何より、自分にはない響の行動力がとても気になっていたのだった。

響は電話相手に、明日も試験があるのにどうして会いに行かなくてはいけないのかと文句をつけていた。
「おみやげ? ほう……」
電話相手の指定した場所へと歩いていく響。

おじさんは響が試験会場の最寄駅から離れていくことに気づく。
(今の電話相手か?)
電話相手と揉めているなら、その仲裁に入ることで響と話せるかもしれない、と考え、おじさんはひたすら響の後をついていく。

途中、交番で道を訪ねて、響が到着したのは首相官邸だった。

 

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当然ながら、警備の人間に止められる響。
何をしに来たのかと尋ねられ、響は答える。
「加賀美に呼ばれてきたの。」

困惑する警備員たちの元にやってきたのは、加賀美の秘書、北島だった。
「お久しぶりです鮎喰さん。」

首相官邸に張り付いていたマスコミが、謎の少女の登場に活発化し始める。

響が官邸に通されている様子を見て、カメラのシャッターを切るマスコミ。

加賀美が響に迎えも出さず、わざわざ首相官邸に呼んだのは『響がふらっと遊びに来た』というシーンを世間にアピールする狙いがあった。

そのためにマスコミの方に振り返ってもらおうとする北島。
「あっ あんな所にユーフォーが!」

「何言ってんの?」

恥ずかしさに耳を赤らめる北島。

ここまで響を尾けていたおじさんは、秘書官に首相官邸に通される響を門の付近で呆然と見送るのだった。

 

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響を呼んだ理由

総理大臣執務室。

「全く訳がわからんよ。」
加賀美は、2年前から決まっていた増税の実施が迫ってきた今になって、支持率が下がることの理不尽さを響に愚痴っていた。
さらに、漢字読み間違いをした大臣の任命責任を追求されると続ける。

あとは総理の失言ですね、と北島。
国会答弁で増税について問われて、思わずついたため息に対してマスコミからバッシングを受け、さらに『ため息総理』と仇名されているとつけ加える。

「アホしかいねーのか!」
うんざりした様子の加賀美。

愚痴をいうために私を呼んだのかという響に、加賀美は既に用は済んだと即答する。
首相官邸の外のマスコミから先ほど官邸に招かれていた女が誰なのかという問い合わせが入っており、響だと答えればそれがイメージアップに繋がりそうだと説明する。

そして、加賀美と北島はここまで来てくれた響に多くの東京土産を渡すのだった。

 

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こんなに持って帰れないという響に、帰りは車で宿まで送らせると加賀美。

明日も英語の試験があるから帰るという響に、加賀美は留学する国がどこなのかと問いかける。

まずイギリス、と響。

「若いうちに広い世界を見るべきだ。知らない世界に触れて外から日本を見て見聞を広げて、大きくなって帰ってこい!」
そう言ってから、加賀美は笑う。
「なんてことを俺が22で初めて海外に行く時恩師から言われたが、わかり切ってることを上から言ってんなあと思ってたな。」

響は微笑を浮かべつつ、加賀美の話を黙って聞いていた。

「響。俺からの言葉をひとつだけ。」

「お前が海外で犯罪を犯した時は日本政府が全力で対応する! 即日に外務省からの最大の支援を約束する。」

なんで私が犯罪を犯す側なのか、と言う響に、加賀美は笑いながら返す。
「過去の行いからして。」

「大暴れしてこい!」

勉強に行くのよ、と響。

 

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花井と響

その日の夜のニュースで首相官邸に女子高生小説家の響がやって来たことを官房長官が会見で認めたことが報じられていた。

響が、低い支持率に喘ぐ総理の女神をなるのか、とニュースは続く。

響が泊まっている花井の部屋のテレビでは、そのニュースが流れていた。

加賀美からのお土産を確認する花井と響。

花井はお土産の内容を、おじさんのセンスと切って捨てる。
さらにウイスキーが混じっているのを見て、未成年に何を渡しているのかと呆れていた。

議員て物あげていいの? と言う花井の疑問に、秘書からだって、と響。

消灯後、花井はベッドに座り、響が初めて泊まりに来たのが高校1年だったと、響と過去を懐かしんでいた。

鬼島を蹴るなど、無茶をしていたが、響は今もあまり変わらない、と花井。
そして私もまだまだ成し遂げたとは思っていない、いつか『雛菊』を週刊誌すると野望を語るのだった。

「ふみが『お伽の庭』を読んでくれて良かった。」
布団に横になり、目を閉じながら響が呟く。

 

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アドバイス

IELTS二日目の試験が終わる。

20代の頃から定期的に試験を受けて来たおじさんは、今年で4回目の受験だった。

しかし、一度も使わないまま気づけば50代か、とおじさん。

おじさんはニューヨークに憧れていた。
しかし移住するほどの度胸はなかったと自己分析する。

「鮎喰さん!」
試験会場の外に立っていたおじさんは、玄関から出て来た響に意を決して声をかける。
おじさんは元木健一と名乗り、響のファンで小説も好きだが、行動力にも憧れていると続ける。
そして自分は海外で働きたいと思いつつ、何十年も行動できないと告白し、響の行動力がどこから来るのかと問う。

響は問答無用で元木にスタンガンを当てていた。

「ストーカーめ。」
倒れた元木を見下ろす響。
「何を堂々と本人の前で。」

 

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「いや…ちが…」
違わないか、と自ら客観的な評価を下す元木。

響は元木に、二度と近づかないで、と鋭い視線を向ける。

(慣れないことをしてこのザマだ。)
地面にうつ伏せに倒れたまま、元木は後悔していた。
(やっぱり一生大人しく生きよう………)

「それはそれとして海外で働きたいの?」
響は元木の顔を両手で挟み、持ち上げる。
「知らないわよ。今日行けばいいでしょう。どうにでもなるわよ。」

元木は呆然と響を見上げていた。

「行ってから悩めば?」

(……ありが……)
力尽きる元木。

響は鏑木紫の家からスタンガンを無断で持ち出していたのだった。
「意外と役に立つもんね。イギリスに持ってけるかな。」

 

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感想

おっさん……(笑)。

気持ちはわからんでもないけど、やってることがストーカーチックだなぁ。

自分の行動力のなさが嫌でしょうがなかったのだと思う。実は気持ちが良くわかる。
で、奮起して行動してみたのが結果的に響のストーカー認定(笑)。

散々な結果ではあるけど、最後の響からのアドバイスが、元木の転機になれば良いなと思った。

しかし、響の受験結果はどうだったのだろう?

正直、響が落ちるイメージがない。

おそらく望み通りの結果になるんじゃないかな。

そして加賀美からの激励があったように、イギリス行きか。

そうなったらかなり登場人物が一新されるのではないか?

加賀美は響が海外で犯罪を犯す前提で、そうなった時に力になると宣言した。

実際何かやらかしそうではある。
そういえば、マスコミにバレてフィンランドに避難していた時、しつこい新聞勧誘員の足をドアで折ったもんなぁ。

うん。これは、イギリスをはじめとして、海外でも普通にやらかすわ。

まぁ、そうじゃなきゃ面白くないんだけどね……。

以上、響 小説家になる方法の第111話のネタバレを含む感想と考察でした。

第112話に続きます。

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