第77話 無念
第76話のおさらい
零を連れて戦いの場から撤退したパピコは、ビルの屋上に降り立っていた。
元のサイズに戻り、二人は抱きしめ合う。
そして零は、もうどこにもいかないで、とパピコに懇願する。
しかしパピコは零に、もうサタンの力による自殺願望はないか確認すると、戦いの場に戻ると零に伝えるのだった。
お腹に赤ちゃんがいるんだよと必死で説得してこようとする零に、パピコは笑顔を作って言い放つ。
「私 強いの知ってるでしょ。絶対!! 帰って来るから。」
嫌だと泣く零に、パピコは、帰って来る、と宣言し、決意を込めた視線で零を見つめる。
パピコに、「言って来て」と言って欲しいと呼びかけられ、零はとうとう折れるのだった。
「………絶対帰って…来て…ね…」
涙を流しながらパピコの望む言葉を絞り出す零。
パピコは、約束する、と零に口づけして空へと浮き上がっていく。
パピコは名残惜しそうに、ビルの屋上にいる零を見つめていたが、サタンとの戦いの場に戻るべく高速飛行を開始する。
その頃、塩沢上等兵はサタンの心臓らしき臓器を胸の穴から引っ張り出すことに成功していた。
「塩沢!! 潰せ!!」
桃ノ木少佐の命令に従い、塩沢上等兵は満身の力を右手に籠める。
サタンの心臓を握り潰しながら、心臓と胸の穴を繋いでいた管をブチブチと引きちぎることに成功するのだった。
第77話 無念
塩沢上等兵がサタンの心臓を握り潰す。
しかしサタンは死ななかった。中空で手をぐっと握る真似をすると、塩沢上等兵、鬼頭軍曹、ヘフナー伍長が念動力で吹っ飛ばされる。
桃ノ木少佐は全隊員に縮小化を命じる。
「もう一度パピコアタックするぞ!!」
しかしサタンの念動力に捕まってしまった塩沢上等兵たちは空中に縫い留められたように固定され、鼻と口から血を流し始めていた。
桃ノ木少佐がサタンを体内から破壊すべく、サタンの左肩辺りにある穴に向けて急降下する。
サタンが右手をぐっと握りこむ。
鼻から血を出し、苦しんでいた塩沢上等兵の頭が、まるで風前が割れたように爆ぜる。
次の瞬間、桃ノ木少佐がサタンを体内からぶち破るのだった。
念動力で内部から破壊された塩沢上等兵、鬼頭軍曹は、まるで風船のようにしぼんでいくのだった。
やられてしまった二人の名を呼ぶ桃ノ木少佐とヘフナー伍長。
サタンは次に右手の人差し指をクイと動かす。吹っ飛ぶ二人。
そしてサタンは塩沢上等兵と鬼頭軍曹を殺害したように内部から爆発させるべく桃ノ木少佐とヘフナー伍長に念動力を込める。
鼻から血を流し、苦しむ二人。
そこに零の元から戻ったパピコがやってくる。
パピコはサタンに向けて落下しながら、右手首にあるデバイスをいじっていた。
落下しながら大きくなっていくパピコ。
サタンを凌ぐほどに巨大化したパピコは、そのままサタンの両肩にのしかかる。
感想
塩沢上等兵と鬼頭軍曹がやられてしまった。
気になったのは、彼らはサタンの念動力で体内から爆発させられてしまったが、何故か血が噴き出すようなことはなかったということ。
ちょうど、人の形をした風船が割れたような感じに見えた。
そういえばパピコがデバイスを受け取った長嶋大佐も、車に撥ねられて死んだあと人形になっていた。あれも意味不明だったな……
塩沢上等兵も鬼頭軍曹も長嶋大佐の死後と同じ末路を辿ったということなのだろう。
どうやらこれは、未来から来た戦士たちの特徴らしい。
ひょっとしたら彼らは死んだのではないのかもしれない。
そもそも現代に来ているのは本人ではない可能性がある。
時間移動は生身では出来ないため、まるで生きているように人形を動かす技術で代わりの人形を送りこんだということなのか……?
もしそういうことであれば、つまり長嶋大佐、塩沢上等兵、鬼頭軍曹は未来ではきちんと生きている。
長嶋大佐が再び現代に来ていないのは、時間を遡るのに必要な巨大なエネルギーが足りていない、といった理由があるのかな「?
しかしもし現代に来ている戦士たちが、未来にいる本人たちが操っている人形に過ぎないとしたら、塩沢上等兵、鬼頭軍曹がやられてしまった時にへフナー伍長が泣いているのは何故かという疑問が出て来る。
もしかしたらフィードバックがあるのかもしれない。
そして、その人形でしか時間移動ができない?
現代には人形を送っているが、もしその人形が傷ついたら未来で人形を操っている本人にも同様の箇所に傷が生じる?
それなら人形の破壊=それを操る未来の本人の死ということになるから、それを嘆き悲しむ桃ノ木少佐たちの反応は当然のことだと言える。
この戦いがパピコの勝利に終わったら、桃ノ木少佐やヘフナー伍長からそのあたりの話が聞けそうな気がする。
とはいえ、まだ戦いは終わっていない。パピコが格好よく登場したけど、果たして勝てるかどうかはわからない。桃ノ木少佐が決死の想いで与えたダメージもそこまで堪えていないように見えるし……。
パピコがこの局面をどう乗り切るのか楽しみだ。
桃ノ木少佐の言う「パピコアタック」の考案者で、これまで数々の戦闘を潜り抜けてきたパピコだから、色々と期待してしまうんだよな……。
おそらくは次回で決着か。楽しみ。
以上、ギガント第77話のネタバレを含む感想と考察でした。
第78話に続きます。
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