第42話 誤作動
第41話のおさらい
街でもネットでも、話題は日本を救ったパピコの話題で溢れていた。
そんな中、零はスマホでネットをチェックしていて、もう自分たちだけのパピコではない、世界のものだという書き込みを発見する。
パピコの真似をして、髪をピンクにする、顔がかわいいといった通行人たちの会話内容から、パピコが世間に与えたインパクトの大きさを感じていたのだった。
スマホのニュース記事をチェックすると、なんと首相がパピコに国民栄誉賞の授与を検討していることを伝えていた。
零が帰宅するまでの道のりで、パピコの話題を聞かない瞬間はなかった。
それは結局自宅にたどり着くまで続くのだった。
玄関に入り、走って零を出迎える母。
母は零を抱きしめて無事を喜ぶ。
夜になり、帰宅した父は会社でパピコの戦いの様子を観戦していて盛り上がっていたと楽しそうに話す。
そしてその流れで、本人主演での映画化の企画が出ていると続けるのだった。
まさかパピコにコネがあると話したのかと怪訝そうな表情で尋ねる母に対し、父は特に悪びれることもなく、予算15億全てを自社で出すと答える。
母は、パピコは息子の彼女だと言ったのかと眉を曇らせて、夫の行動を暗に咎める。
零は両親よりも一足先に食べ終えて自室に戻ろうとする。
その零の背中に、頼むよ、と一言声をかける父。
しかし零はそれを無視し、もちを腹部の前で抱えて自室に向かう。
零はベッドに寝転び、パピコとのLIMEの履歴を眺めていた。
その時、突然中島から安否確認の電話がかかってくる。
互いの無事を喜ぶと、話はパピコのことに移っていく。
自衛隊の車に乗っていってしまったという零の話から、中島は、彼女が当分戻ってこないかもしれないと答える。
中島は、犯罪者として扱われていたパピコが今回、特赦により無罪放免となったが、その代わりに今度は軍事機密として保護されるのではないかと推測する。
パピコはこれからどこに? という零の質問に、おそらく専用の住居が用意され、いつでも出撃できるように自衛隊基地の近くにいるのではないかと答えるのだった。
ETEの掲示板。
そこにはパピコを批判する声で溢れていた。
零が眠っていると、スマホにパピコからの連絡が来る。
その内容は、パピコのマンションの鍵を机の上に置いておいてほしいというものだった。
それに対して、まずはパピコが無事なのか、会いたいがどこにいるのかと返すが、返答はない。
零は家を飛び出し、夜の街を自転車で飛ばして、あっという間にパピコのマンションに到着していた。
パピコの部屋に入る。部屋の中は、彼女と一緒に過ごした時間を留めていた。
零はパピコに言われた通り、机の上に鍵を置く。
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第42話 誤作動
再会
夜、パピコの部屋に鍵を置きに来た零。
零はパピコの指定通りに鍵をテーブルの上に置くと、部屋でぼーっと立っていた。
その時、彼に背後から突然抱き着いたのはパピコだった。
パピコが飛びついてきた勢いで零はベッドに倒れこむ。
零はまだ、何が起こったのか分かっていなかった。
しかしひょっとしたらという期待をもち、胸を高鳴らせつつ振り返ると、そこには右目に眼帯をしたパピコがいたのだった。
「ただいま……」
パピコは溢れる涙を拭わず、零を見つめたまま、帰宅の挨拶をする。
「お、おかえりなさい…」
零もまた涙を流していた。すぐに嗚咽を上げて泣き始める。
「あいたかったよ。あいたかった………」
パピコの涙が零の顔を濡らす。
久々の会話
久々に抱き合ったあと、二人はベッドに体を横たえて互いに見つめ合いながら会話をする。
目は大丈夫なのかと問われ、腫れてるだけだとパピコが答える。
「僕がずっと、カギ置きに来なかったら……」
「すぐ来ると思った……」
「カギ返してっていうの…は?」
「ウソ……すぐ来てほしかったの。」
パピコは、また巨大な敵が現れた際に自衛隊に協力することを交換条件として、自由になれたのだという。
日本に混乱をもたらしたETEも、遮断することで大丈夫なのだとつ続ける。
そしてパピコはAV女優を辞めると宣言する。
戸惑う零に、零以外としたくないのだと答える。
零はこれまでずっと辛かったと言いつつも、パピコの今後の仕事の心配をする。
帰宅途中、パピコのスマホは有名な芸能事務所を含めた30件くらいの電話が鳴りっぱなしだった。
テレビのタレントへの引き抜きや、英語での誘いもあったのだという。
パピコは、AV女優は必要とされるのが嬉しくて始めた仕事だったが、多くの人に必要とされるならテレビタレントでも良いかなと考えていることを零に打ち明けるのだった。
違和感
ポン。
テーブル置いていたパピコのスマホ画面が光る。
『聞こえてますよ。』
戸惑うパピコ。
スマホからsiriの声で話しかけられているが、そもそもsiriを立ち上げるようなことを言ったかと首をかしげる。
『パピコさん………あなたは大変興味深いです。』
『私達は貴女を研究し分析します。あなたのことがもっと知りたい………。人類の中でもあなたはとても興味深い。特別興味深い……』
零はスマホを手に取り、画面を確認する。
画面には今、スマホが喋った内容がそのまま文字列で表示されている。
しかしすぐにそれは消えてしまうのだった。
誤作動を疑うパピコ。
自分の名前が呼ばれたことに君の悪さを覚えていた。
しかしすぐに話を切り替える。
明日もちを連れてきてというパピコにもちろんと返す零。
零がどこか上の空な様子を見て、もう帰る? とパピコが問いかける。
しかし零には帰るつもりはなかった。
激しく抱き合う二人のそばでは、スマホが沈黙を続けていた。
感想
前回はてっきりパピコは政府に管理され、もう零とは会えないのかなと思ったけど、そんなことはなかった。
考えてみれば、国の救世主を軟禁に近い状態におくなんてあり得ないわな。
気分を損ねてしまい、いざ敵が攻めてきた時に動いてくれなかったらマズイわけで。
国の要請があった際には出動することを条件に、普通の生活に戻ることを許されたらしい。
パピコは零と付き合うようになってからAVの仕事から遠ざかる決意をしたようだ。
ちょうど、何10もの芸能事務所からオファーが来たことから、今後は芸能人として活動を始めるのだという。
日本を救ったし、可愛いし、おまけに身体が巨大化するという、これだけのタレント性があれば注目度は抜群だろう。
むしろ芸能事務所が原因で零と引き離される可能性の方が高そうだ。
芸能界入りするということは、零の父の映画に出ることになるかもしれない。
ETEは遮断するらしい。確かに、そもそもサイトに繋がらなく出来れば投票は無理になる。
気軽に投票出来ていたことがETEの暴走を許していた原因だったわけだし、これで解決なのか。
その代わり、どうやら新しい展開が始まるようだ。
呼びかけていないのに、突然siriの声で名前を呼び掛けられる。
siriと言えばAIだ。つまり、いよいよAIの話になるということなのか。
おそらくこの物語の謎の核心だと思う。
確か、AIの暴走云々という話が物語の序盤であったような……。
AIの暴走による災禍から世界を救うべく、あのブリーフにランドセルのおじさんが未来から来たみたいな話じゃなかったっけ?
ETEはそんなAIの暴走の一環に過ぎないという話なのか?
今後、あのおじさんの正体と目的がきちんと明かされていくのかな。楽しみ。
以上ギガント 第42話のネタバレを含む感想と考察でした。
第43話に続きます。あわせて読みたい記事。
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