第64話 別れ
第63話のおさらい
パピコの部屋で、もちがいなくなった原因を探す戦士たち。
桃ノ木少佐は床に落ちていた長嶋大佐のディスクの中に口に入れることで起動するタイムマシン「時間移動球」があることから、もちがそれを咥えたことで過去か未来に飛んだこと、それも舌でなめた程度ではそこまで先の未来に行ことはないとパピコに説明する。
「安心しろ。もちは、そのうちこの部屋に出てくる。」
長くても2、3日で出てくるだろうとパピコを安心させようとするパピコ。
電車で学校に向かう途中、零は周囲の乗客が倒れたり吐いたりしている事に気付く。
停車した電車から慌てて降りた零は、胸の動悸を抑えるのに必死だった。
電車がやってきた向かいのホームに4人の男女が身を投げる。
さらに別のホームでも飛び込み自殺が起きていた。
零は嫌な考えを振り切るために首を振る。
そうして呆然と立っている間にも、零の左右からサラリーマンが同時に電車に飛び込んでいく。
嘔吐をこらえながら改札に逃げ出す零。
その頃、仕事に向かう直前のパピコは、マンションのすぐ前の道路で防衛省からの着信を受けていた。
パピコの部屋のテレビでサタンの東京上陸を確認していた桃ノ木少佐は、パピコを連れ戻すように部下に指示する。
サタンが、東京湾から東京に上陸を開始しようとしていた。
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波長
マンション前の路上で、パピコはマネージャーと会話していた。
お腹に子供がいるのにもかかわらず、防衛省から迎えに応じようとするパピコを止めようと、説得しようするマネージャー。
たまたまそのタイミングで帰ってきたヘフナー伍長が、そのやりとりを耳にしていた。
パピコの近くに立ち止まり、お腹に子供がいるのか、と問いかける。
新宿で下車した零は、気分の悪さを押して地下構内から地上に出る、
辺りには血を流してうつ伏せになっている人がいた。
次々に高い所から飛び降りて、地面に激突していく人たち。
零はそんな中をいつしか駆けだしていた。
「我々にまかせろ。」
部屋に戻ったパピコは、桃ノ木少佐に、ここに居ていいと言われていた。
戸惑っているパピコに、もともと我々だけで闘う予定だったと桃ノ木少佐。
パピコが、防衛省からの迎えが来ると言うのにも、笑みを浮かべて全く動じない。
「私が話をつけてやろう…今までよく一人っきりで闘ってくれた。後は我々にまかせてくれ。」
まかせてください、と塩沢上等兵。
ここで安静にしててくれ、とヘフナー伍長。
世話になりました、と鬼頭軍曹。
「しかしこの時代は楽しかったな。」
桃ノ木少佐はそう言って3人の部下と共に玄関に向かう。
パピコは4人に不安そうに訊ねる。
「戻って……来るよね…?」
その問いかけに桃ノ木少佐は笑みを返すだけだった。
玄関から外へ出ていく4人に、パピコはもう一度同じ質問尾する。
大丈夫ですよ、と塩沢上等兵。
パピコは、明るい態度のまま、サタンとの戦いの地に赴こうとしている戦士たちを見送るのだった。
一人残されたパピコの目から涙が流れ落ちる。
そしてパピコは、テレビの音だけが響く部屋に一人残されていた。
ベランダから4人の姿を見つめる。
桃ノ木少佐が指示を出し、4人は飛び上がる。
「じゃあなパピコ!!」
パピコはテレビのニュースでリポーターが新宿駅で飛び込み自殺が続き、自分も気分が悪いこと、それがサタンの発する波長のためか自殺者が増加してパニック状態が続いていると続ける。
「皆さん!! 気を強く持って!! 自殺願望はサタンによるものです!!」
心配になり、零に電話を掛けるパピコ。
零は苦しそうに、気分が悪いことを伝える。
零が自殺のことを考えていると知り、どうにかしなくてはと焦っていた。
座り込んでいた零が立ち上がり、どこかに向かおうとする。
その気配を感じたパピコは、大きな声で宣言する。
「待ってて!! あたしがサタン倒して来るから!!」
零は横断歩道の前に立ち、通話していた。
愛してると繰り返すパピコ。
零は辛そうな表情で、受話器越しにパピコの声を聞いていた。
感想
サタンに襲われるという恐怖に負けて、次々に高所より身を投げて命を散らしているのかと思いきや、サタンの出す波長で誘導されていたのか……。何てえげつない攻撃。
こんな光景見たら恐怖で狂いそうだ。
サタンに操られる形で身を投げている人もいるだろうけど、そういう人たちに引きずられる人もいるのかな。
こういう状況を見ると知らず知らずの内に、こんな時自分はどう動くのかと想像してしまう。
少なくとも自分は、自らの手で自分の人生を終わらせることなんてとても考えられない。
しかし、サタンの波長とはそこまで効果が覿面なものなのか。
生き残れる可能性を考慮すると、自ら命を散らすことで可能性をゼロにしてしまうのは非常にもったいない。でもそれは、こうして部屋で安穏としていられる状態だからこそ迷いなく思えるのかもしれない。
新宿にいる零にも自殺衝動が生じているようだ。
サタンが近いからか? 距離が近ければ近いほど自殺を促す波長が効力を発揮するのかもしれない。
零のピンチに、戦うことを決意するパピコが尊い。
お腹に赤ちゃんがいるけど、戦えるのは未来から戦士を除けば、現代人では自分だけだもんな……。
このまま何もやらずに未来人たちに任せていたら楽だけど、ゆっくりしていられる状況じゃない。おそらくこういう状況では動いている方が気持ち的には楽ということもあると思う。
一対一で戦うより、未来人4人と一緒に戦う方が勝率は高いはずだ。
だが戦士たちは命を宿したパピコを戦わせまいとしている。
本当はパピコも戦ってほしかっただろうに……。
自分たちの勝率を下げてでも、パピコと彼女の子供の命を優先する彼らは間違いなくヒーローだ。
こんな未来人達に死んで欲しくないなー。みんないい奴らだし……
果たしてサタンは撃退できるのか。そして戦力は足りるのか。
次回、いよいよ対決か。非常に楽しみ。
以上、ギガント第64話のネタバレを含む感想と考察でした。
第65話に続きます。
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