GIGANT ギガント(奥浩哉の漫画)最新第10話可能性の感想(ネタバレを含む)と考察。ETEが影響力を拡大。その一方で零はパピコに想いを告げる。

第10話 可能性

第9話のおさらい

街に突如汚物が降り注いだというニュースが世間を騒がせていた。

 

友人からあれからパピコとのその後を問われた零は、彼氏が戻らず元気がないと答える。

 

お前はどうなの? と続けて問いかける友人。
パピコに彼氏がいない今、告白すればと主張する。

 

零は、どこまでも消極的な姿勢を崩さない。

 

友人は、昨日街に汚物が降った話題を持ち出してスマホ画面に”ETE”というホームページを表示させる。

 

”みなさんで終末を一緒に楽しみましょうという”キャッチコピーの下にある、ピックアップと強調された記事のタイトルは”12月3日 関東中心にウンコが降る!! を実現しました!!”と表示されている。

 

友人は、ユーザーから世紀末っぽいお願いを集めて投票で実現するというこのサイトが、小中学生の間で爆発的な広がりを見せているのだという。

 

昨日の街に降った汚物はこのサイトの仕業なのか、と驚く零。

 

友人は、どうやって? と不思議がっている零に、自分も丸ごと信じてはいないと返す。
学校からの帰り道、零はスマホでETEを眺めていた。

 

みんなのお願いベスト5
1.またウンコが関東に降る
2.女が全員裸になる(三重)
3.安倍晋三がチンコを出して歩く
4.イケメン俳優がマッパで新宿を走る
5.上野動物園の動物が全部逃げ出す

 

突然、投票をはじめてくださいと表示されたかと思うと、見る見る内に願いごとの右横のカウンターが回っていく。

 

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投票は<イケメン俳優がマッパで新宿を走る>が得票数一位で終了する。

 

さらに<実現しますか? 10万人で実現!!>とテキストが切り替わり、それもあっという間にクリア。

 

零は確認の為に、ポータルサイトのニュースページを開く。

 

ニュースの中にイケメン俳優がストリーキングをしているという内容の記事がないのを確認した零は、続けてツイッターを確認する。
すると、トレンドワードをまとめた項目に目がいく。

 

おすすめトレンド
1 新宿 ストリーキング 21,610件
2 #菅田君 24,905件
3 デカイ 9,614件
4 巨根 11,542件

 

多くの女性が驚く中、新宿の街を裸一貫の若者が”菅田君”が走っている。
その情報は見る見る内にネット上を駆け巡っている。

 

零は信じられない様子でスマホを見つめる。その手はブルブルと震えているのだった。

 

帰宅して、母と一緒に食事をする零。

 

何気なくテーブル上に置いたスマホの画面を見ると、<関東に震度5の地震>を実現しますと表示されている。

零はカウンタが勢いよく回り出したのを見て、思わず椅子から立ち上がる。

 

零の突然の行動を受け、不思議そうにしている母。

 

間もなく、家の中の物がカタカタと音を立て、揺れ始める。

 

「地震?」
母が呟くと同時に、一気に揺れは大きくなり、素早くテーブルの下に隠れる二人。

 

零は不安を噛み殺しつつ、地震が収まるのを待っていた。

第9話の詳細は上記リンクをクリックしてくださいね。
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第10話 可能性

影響力を増すETE

ワイドショーの司会者が、昨日ハッキングで四菱東京UFO銀行から10万人の不明口座に1000万ずつ送金された件に関して連日の怪現象と関連があるのかとナレーションする。

 

番組出演者たちは今月3日に起った震度5弱の地震や、アメリカで次々に起る銃乱射やたくさん目撃されるUFOについて言及するが、それら全てを関連付けるのはどうかと冷静な意見も出る。

 

そして番組の流れは、ネットで都市伝説として連日の異常な出来事と関連があるのではないかという前置きからETEについて取り上げる方向になっていく。

 

テレビ画面下部に『ETE(EnjoyTheEnd)』というテロップが映し出される。

 

女性はETEについて、小中学生の間で爆発的に流行っていて大人の利用者も増えてきていると説明する。

 

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パピコが自室でポテトチップスを食べながら番組を観ている。

 

ETEはユーザーの投票によって起こす事件を決めるサイトであり、先月起きた事件が全てこのサイトで予言されていたかのように表示されていると女性の説明は続く。

 

いかつい表情をした中年男性は、くだらない遊びだと一蹴する。

 

<四菱東京UFO銀行から投票者の口座に1000万送金される>が一位になりました。

 

女性は切り替わった画面を指し示しながら、これが朝10時34分に投票された結果だと説明し、投票が終わってすぐに銀行に問い合わせてその1分後に1000万円が10万件に向けて送金されたのだと説明する。

 

さきほど”くだらない遊び”とETEを一蹴した中年男性が、何かトリックがある、私は信じないとピシャリと言い切る。

 

現実に日本国民が全員怯えているのは事実、と締めて話題は次に移る。

 

テレビをじっと見つめていたパピコは伸びをするようにベッドにもたれかかる。

 

 

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暴走するETE

零とパピコがいつものファミレスでご飯を食べている。

 

二人で他愛も無い会話をしながら食事を進めていると、零がスマホの画面を見つめる。
「あ…また…決まった…?」

 

不思議そうに零を見つめるパピコ。

 

「マイスリー後藤が突然死……に決まったそうです……」

 

それが誰なのかというパピコの問いに、ネットの噂で殺人犯に仕立て上げられたタレントだと答える。

 

その答えを聞いて、パピコはテレビで誤解だと訴えていた芸人がいたことを思い出す。

 

「ひどい… ひどいよ!! こんなの!!」
零は画面を見つめながら嘆く。

 

「やっぱり……これって…関係あるの? そのサイト。」

 

パピコの質問に零は、ETEでの予告は100%起るのだと答える。

 

「え? じゃあマイスリーさん死んじゃうの? 警察は?」

 

警察も動いているのかな、と確信の持てない様子で呟き、零はスマホにツイッターを表示させる。
「ツイッターでもほぼETEの批判ばっかりなのに…」

 

ツイッターのタイムライン上に表示されているツイートはいずれも、ETEを利用している人間に対する呪詛や、この状況を嘆くものだった。

 

 

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零が動く

ファミレスから出た二人は道を歩く。

 

本当に子供達が投票しているのかな、というパピコの問いに零は、わからないし運営も謎だと答える。

 

マイスリーの安否を尋ねてきたパピコにヤフーのトップニュースによると死亡したようだと答えて、ひどいと嘆く。

 

二人はパピコのマンションに辿り着く。

 

お茶を飲んでいくかというパピコの申し出を受け、零はパピコの部屋に上がる。

 

パピコがテレビをつけると、すぐにマイスリー後藤に関してのニュースの音声が流れてくる。
台所から缶ビールとお茶を持って来たパピコに礼を言い、零はお茶を受け取る。

 

「……ずっと…考えて…たんですけど…」
お茶を開けながら、零はもしかしたらパピコの腕の機械がETEと関係があるのではと呟く。
そして、それはただのカンだと一言ことわりを入れ、DVDをちゃんと観ておくと続ける。

 

パピコはずっと立ったまま、目の前で座っている零を見下ろしている。

 

 

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そのままの沈黙する二人。

 

あの、と零が話を切り出す。
「今…まだ…彼氏さん……のこと…まだ。」

 

「うん…でも…もう…いいかな………」
パピコは黙っている零に対して、どしたの? と問いかける。

 

「……僕が…彼…氏………僕じゃ…」
零はパピコの足に視線を置き、つっかえながらも一生懸命に言葉を紡ぎ出す。
「僕が……彼氏になれる……可能性……ありますか…?」

 

再び二人の間に沈黙が生まれる。

 

暫しの時間をおいて、パピコが口を開く。
「考…え…とく…」

 

「本当に?」
零は表情を明るくしてパピコを見つめる。

 

パピコは特に表情を変えること無く零を見返す。

 

自宅への帰り道。零は息を弾ませ、笑顔で自転車を漕ぐ。

 

 

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ギガストラクチャー

零は自室の机の前に座り、にノートを開いている。

 

スマホでETEにアクセスし、投票結果画面を確認する。

 

<実はハゲのタレントのカツラがはずれる>が一位になりました。

 

その画面を眺めて零は、ふふ、と笑う。
次にyahooを開くと、零はニュースの中に『新宿ストリーキングは別人?』というタイトルの気になる記事を発見する。

 

”菅田”が新宿を裸で走り回っていた同時刻、本物の菅田は新潟で映画の撮影をしていたのだという内容が書かれている。

 

ニセモノだと理解したものの、じゃあどうやったんだ? と不思議そうな零。
「充分に発達した科学技術は……魔法と見分けがつかない……か……」

 

 

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透明な巨大建造物が地球に覆いかぶさっている。

 

地球に向けられたカメラのレンズの様な部位が太陽の光で反射している。

 

「シンギュラリティ……」
零は宇宙を見上げるように天井を見つめる。
「AIが……何かAI関係…してん…のかな……」

 

立ち上がり、テレビの前まで歩く。
「あのヘルメットのおじさん、あのDVDちゃんと見ないとな……」
そう言って、PS4にDVDを入れる。

 

再生されたのはパピコのAVだった。
零はテレビの真正面に陣取り、ヘッドホンをつけて視聴する。

 

その頃、パピコはベッドの上に仰向けに寝転がって天井を見つめていた。
「………困った……」

 

 

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感想

ボーイミーツガール

相変わらず先が読めない。

 

今回は色々出てきたけど、まずそもそもこのGIGANTという物語はボーイミーツガールという謳い文句だ。
つまり零とパピコの恋愛が話の軸で、確かに実際そうなってる。

 

恋愛という観点からの感想なら、まずラストのコマを見てパピコがこの先一度は零を遠ざけそうな予感がした。
まだまだ恋愛の相手としては零は物足りないと思われているっぽいんだよね。

 

DV彼氏の刺激に慣れ切っている女性は、ただ優しいだけの男には興味が湧かなくなる傾向がある気がする。
偏見だけど、観察してると実際にそう見えるんだよね……。

 

あと、パピコに関してはクズの母や兄弟が身近にいた劣悪な生活環境もDV彼氏に惹かれやすい一因になっていると思う。

 

GIGANTをここまで読んできて、自分はパピコのことを根っからの不幸体質だと判断している。

 

 

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零はその外見や態度から滲み出ているように、無害そのものだ。
パピコが一瞬でも零のことを恋愛対象として考えたことがあるなら、零となら穏やかな関係を築ける可能性は高いと判断してるはず。

 

少なくとも今回の話を読む限りでは零のことを恋愛対象と考えたことは無いように見える。

 

せいぜい弟か仲の良い男友達くらいの感覚か?

 

一度それらのカテゴリーに入るとそこから中々イメージは変わらない。

 

零とパピコが恋愛関係になるのはまだまだ難しいような気がする。

 

でもパピコが零を頼っている現状がある。
巨大化デバイス、DVD、ETE、そしてAIとこの先、おそらく目まぐるしい展開を見せるはずだ。
零がパピコにいいとこ見せれば頼りがいのある男として恋愛対象に昇格する可能性は十分ある。

 

 

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恋愛以外の要素が目立ちすぎ(褒)

この作品はほんと、リアルで雑誌を追う楽しみをダイレクトに味わえる作品だと思う。

 

先が全然読めない(笑)。

 

恋愛物語が軸なのに、今のところ零とパピコの恋愛関係以外で巻き起こってる現象のインパクトがあまりにも強すぎて、しかもそれらがいずれも謎過ぎ。
このカオスから一体何が起こるのかという期待感ばかりが膨らんでいく。

 

ここまで零は何か特別なことをしたわけではないし、パピコだって巨大化デバイスをAVのギミックに使った以外特別何かをしたわけじゃない。

 

 

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唯一の手掛かりであるDVDをチェックするつもりだったはずの零は結局パピコのAV観てるし(笑)。
というか、まだチェックしてなかったのかよ、ってツッコんだわ。

 

これまでに零、パピコに関係する物語が動いたと言える出来事を列挙してみる。

 

・零とパピコが出会う。

・おっさんの死。

・パピコが巨大化デバイスを得る。

・おっさんの残したDVDを得る。

・竜二が逃げる。

・ETEの存在を知る。

 

このくらい?

 

実際まだ話の筋自体は劇的な展開を見せていないのに面白いんだよなー。

 

 

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ギガストラクチャー

ついに絵として出てきた。

 

どうも流れ的には地球上を覆う透明な巨大建造物がETEで最も投票された結果を実現させているっぽいんだよなー。

 

巨大建造物のアップになったカメラのような、それともレーザーの発射口のような部分が重要な役目を果たしているのだろうか。
AIが外部情報読み取る――つまり巨大建造物にとっての目のような役割を持っているとか?

 

AI制御で動いているのは間違いないと思う。

 

このバカでかい怪物のような巨大建造物と、それを作った存在の破壊及び排除がおじさんの目的だったのかな……。

 

今回、零が口にした『シンギュラリティ』は重要なキーワードだ。

 

 

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人工知能(人工超知能、汎用人工知能、AGI)の発明(人工知能の発明には人間の頭脳の機械による代替も含まれる)により、人間の知性が機械化され、その機械自身も自律的に進化を続けると、超加速度的な技術の成長を引き起こし、人間が築き上げた文明に計り知れない(もはや技術的特異点以前の文明で起きていた出来事の大きさが限りなく0に見える程に大きな)変化をもたらす。機械で実現される知能が現れ自律的かつ再帰的な進化を開始すると、時系列グラフに表した場合に、機械で実現される知能の思考速度がそびえ立つ壁のように垂直に立ち上がり、生身の人間の感覚で言えば無限大に到達したように見えるために、物理的あるいは数学的な特異点に準えてこのような名称になった。
wikipedia「シンギュラリティ」ページより抜粋

 

『技術特異点を迎えるとそれ以前の出来事の大きさが0に見えるほどの変化が起こる』とか全然想像がつかない。

 

それを実現したのがギガストラクチャーなんだと思うけど、誰がどうやってこの巨大建造物を造ったのか。

 

DVDを観た零がおじさんの言っていたことをターミネーターみたいと言っていたのがもし正しければ、現代人が造ったってこと?
以前も書いたけど、ターミネーターにおけるスカイネット的な会社がある?

 

もう謎だらけ。

 

 

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ETEの役目

これも前回書いたけど、ETEはただの遊びか実験にしか見えない。

 

ETEは確実に世の中に浸透し、影響力を増している。

 

世の中にインパクトを与えているのがETEを投票結果で操る小中学生たちというのは面白い。
婉曲的にネット社会を皮肉る意味も込めてたりするのかな。

 

零の見ていたネットニュースの新宿を全裸で走り回っていた”菅田”がニセモノだという記事は興味深かった。
自分の予想は巨大建造物が”菅田”そのものを作り上げて新宿に送り込んだ説。

 

本物の”菅田”をスキャンして新宿に再構築するとか普通に出来そう。

 

零の呟いた『充分に発達した技術は魔法と見分けがつかない』という有名な言葉も、AIが”菅田”に新宿を裸で走り回らせる現実を実現したのを示唆しているように感じた。

 

ひょっとしたらパピコが腕のデバイスで超巨大化して巨大建造物をぶっ壊す展開が来るのかな。

 

零の告白にパピコがどう答えるのか?

ETEはどこまで影響力を拡大するのか?

そしておじさんの残したDVDの情報は?

 

以上、GIGANT第10話のネタバレを含む感想と考察でした。

第11話に続きます。

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2 件のコメント

  • ガンツの異世界作品みたいになるのでは?
    カタストロフィをテーマにしていますからね。
    でも、一番注目すべきなのは現実世界ではないでしょうか。
    いつETEの様な現象が起きるかわかりませんからね。

    • コメントありがとうございます!
      確かに、GANTZに近い雰囲気も感じますね。
      ただ、自分は『まだ誰も見たことがないものを描きたい』という奥先生の意気込みに期待してます。
      ヒットメーカーたる奥先生の剛腕で読者の予想する展開なんてメチャクチャに引っ掻き回して欲しいです。

      現実でも予想だにしないことがしばしば起こりますよね。
      ETEみたいなサイトがあってもおかしくないくらいに……。
      25歳を超えたくらいから、結局ニュースが一番面白い番組だと分かりました。

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