夢で見たあの子のために最新第5話の感想(ネタバレ含む)と考察。惠南のもみじ園入園の経緯。そして予想外の人物が千里に牙を剥く。

第5話

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惠南の過去

深夜、男の子のトイレに付き合ってあげる惠南。

 

そろそろ一人でトイレに行こう、と言う惠南に、男の子は、廊下が不気味だから、と答える。

 

子供の頃はそうだったかも、と惠南。

 

惠南は男の子が部屋に入るのを見送り、自室に入る。

夢に見たあの子のために 第5話 惠南

 

目覚まし時計をセットしてベッドに横たわるが寝付けない。
ベッドから降りて床に体育座りになり、壁にもたれて眠る。

 

回想。

 

「杉並区主婦殺害で男逮捕」という新聞の見出し。

 

父が二人の警察官に連行されていくのを呆然と見送る幼い惠南。

 

惠南と母の住むアパートの玄関は一面、罵詈雑言の落書きで埋め尽くされている。

夢に見たあの子のために 第5話 琴川家

 

母が運んできた食事に手を付ける前に、おかあさんは食べないの、と惠南は母に問いかける。

 

母は、後で食べる、と言って隣の部屋に移動する。

 

部屋のふすまを閉める前に、忘れないで、と惠南に語り掛ける。

「罪を犯したら必ず罰が下るの …大切な人も巻き込んで…」

 

食事を終えた惠南は、地球儀を回しては止め、本を読んでいる。

 

ガタン、と言う音が聞こえ、隣の部屋をそっと覗くと、そこには首を吊った母の姿。

夢に見たあの子のために 第5話 惠南と母

 

惠南は涙を流し、その場に跪く。

「……どうして? おかあさん」

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惠南、もみじ園へ

もみじ園。

 

「今日からこのもみじ園に新しく仲間入りする事になった琴川惠南ちゃん」

既に入園している子供たちの前で惠南が紹介されている。

 

地球儀と本を持って立っている惠南に、子供たちの冷たい目線が集中する。

夢に見たあの子のために 第5話 子供達

 

子供達の輪から外れ、惠南は一人その輪から外れて本を読んでいる。

 

窓から外の景色を見ていると、惠南は屋根の上に体育座りしている男の子――幼き日の千里を見つける。

(…あの子も…ひとりぼっちだ…………)

 

惠南がじっと見つめていると、千里が睨み返して来る。

 

すぐに千里の視線から逃げるように死角に身を隠す。

夢に見たあの子のために 第5話 惠南

 

千里がカウンセラーに自由に描けと言われ、刃物を持った男の不気味な絵を書き、それをハサミで切っていたのを惠南が目撃したのは、惠南がもみじ園に入った最初の日だった。

 

両親を殺害されたという千里の境遇を知った惠南は、犯罪者の娘である自分とは全く立場が逆であると考えていた。

 

その上で、千里は自分のことなど嫌いであり、仲良くなんてなれないと感じていた。

 

夜、就寝の時間になり惠南が寝床に入ると、寝具が水浸しになっている。

夢に見たあの子のために 第5話 惠南

イタズラに引っかかった惠南の様子に、クスクスという他の子供達の笑い声が部屋中に満ちる。

 

惠南は一切動じた様子を見せず、ベッドから出て床に体育座りして眠る。

夢に見たあの子のために 第5話 惠南

 

別の日。

 

惠南がいつものように地球儀の回転を止め、指先に止まった国についてのページを確認しようと本をめくっていると、落書きを発見する。

『バーカ』

『しね』

『人ごろしのお金でかった本はこうだ→』

 

惠南がページをめくると、途中のページが何枚か破りとられている。

 

『ざまみろ』

夢に見たあの子のために 第5話 惠南

 

(罪を犯したら必ず罰が下るの。大切な人を巻き込んで。)

母の最期の言葉を思い出す惠南。

 

この瞬間、惠南はその言葉の意味を理解するのだった。

 

(このひとりぼっちはいつまで続くかな)
壁にもたれ、傍らに地球儀を置き、本を抱く惠南。

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千里に救われる惠南

広場で男の子たちが遊んでいる。

夢に見たあの子のために 第5話 子供達

木陰にいる千里に坊主頭の男の子が声をかける。

 

「おまえもこっち来て野球やんない?」
男の子が手にしているのは丸められた本のページ。

 

千里は男の子に近づいていく。

 

「来た来た! はじめてじゃん? ノッて来たの!」

坊主の男の子は、打っていいぞ、とバットを千里に手渡そうとする。

 

惠南が本を読んでいる。

 

その脇に、破りとられて無くしていたページが、ぱさっ、と落ちる。

夢に見たあの子のために 第5話 惠南

目線を上げた惠南の前には口元に若干の血を滲ませた千里が立っている。

「…それ だいじなモンなんだろ?」

 

惠南は千里に問いかける。
「これのためになぐられたの?」

 

「べつに…」
千里は振り返りざまに答える。
「なぐられるのはわるいことだけじゃないからいいんだ」

夢に見たあの子のために 第5話 千里

 

「…あ 千里くん!」
その場を立ち去っていく千里を惠南が呼び止める。

 

「千里くんは…その…」
惠南は立ち上がり問いかける。
「あたしのこと………きらいなんじゃないの?」

 

「…あー…」
少しの間の後、千里は惠南に背を向けたまま答え始める。
「おまえのとうちゃん…人ごろしなんだってな」

 

悲しみに顔を歪ませる惠南。

 

「でも」
千里が惠南に振り向く。
「おまえはべつにわるくないだろ」

 

「……!」
口を歪ませ、うん、と答える惠南。

夢に見たあの子のために 第5話 惠南
「ありがとう」

 

回想終了。

 

中條青果店。

惠南が、野菜をもらいにきたよ、と声をかける。

 

千里の祖父が惠南の自転車の後ろに野菜を載せていく。

 

笑顔で千里の祖母にも挨拶をする惠南。

 

「千里は…まだ学校かね?」

 

祖父に尋ねられ、惠南が答える。
「…さっき屋上登ってったからもしかしたらまだ寝てるかも」

 

そうか、と祖父。
「昨夜はなんだか寝つけずにおったようだからな…」

 

「そういや授業中ずっと寝てたよ」
そう言って惠南は、後でメールしておく、と続ける。

 

(ま、昨日の今日だからなー…)
自転車に跨り、惠南が祖父に挨拶する。
「今日もありがとう! また来るね」

 

気をつけてな、と手を上げる祖父。

 

(面倒臭い奴だなー)
自転車を漕ぐ惠南。

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板倉

学校の屋上。

 

設置された太陽光パネルの隣で千里が仰向けに寝ている。

 

廃ビルの屋上で見つけたパスケースを眺めていると、若き日の母を写した写真が無い事に気付く。

夢に見たあの子のために 第5話 千里

(…どういう事だ?)

(いつから無い?)

(………)

 

ふと千里の脳裏に昨夜の祖父の姿が思い当たる。
(じいちゃんか…!?)

(何故隠す必要がある…?)

 

「中條君!」

 

「…あ?」
唐突に声をかけられ、千里は思考を邪魔されたことを咎めるような目をそちらに向ける。
「…板倉」

 

板倉が片手を上げて千里に近づいていく。
「ここだと思ったよ」

 

今日は何の用だよ、とぶっきらぼうに問う千里。

 

「いやあ」
板倉が笑顔で千里の問いかけに答える。
「こないだはずいぶん世話になったからさ お礼がしたいと思ってさ」

 

板倉は千里に向かって封筒を差し出す。
「これ…後で見といてくれる?」

 

「ああわかったじゃあな」
千里はぞんざいに封筒を受け取る。

 

「……」
板倉は千里に背を向ける。
「じゃあ確かに渡したよ」
ニヤリと口元に笑みを浮かべる。

夢に見たあの子のために 第5話 板倉

 

千里は板倉が屋上を後にするのを見送る。
(お礼なんざされる筋合いはねえんだよ)
封筒を見つめる千里。
(面倒臭ェな…なんだってんだ?)
封筒を破ると中から写真が出て来る。
(あ…? また写真…)

 

写真には千里とメガネの不良のツーショットが写っている。

夢に見たあの子のために 第5話 千里と瀬島

 

「…………!?」

(俺と瀬島だ)
千里は写真を眺めながら考える。
(四つ木の工場に行った日だ…)

 

(誰が撮った…?)

(何で板倉がこんな写真持って…)

 

千里の脳裏に閃きが走り、その場を駆け出す。
「…畜生!」

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板倉の

「おい! お前ら無事か!?」
千里が楼蘭に駆け込む。

 

店の中はめちゃくちゃに荒れ、ソファと床にはそれぞれボコボコに殴られた様子の不良仲間が倒れている。

 

「…千里……逃げろ」
床に倒れている金髪坊主が千里に呼びかける。

 

板倉の仕業だと察する千里。
「どんな奴らだった!?」

 

「…5~6人の明らかに本職と判る奴らだ……瀬島がサラわれた……」

 

「どこに行ったか判るか?」
千里の問いかけに、金髪坊主は、いいからお前は逃げろ、と返す。

 

「はいわかりましたって俺が逃げると思うか?」
金髪坊主のそばにしゃがむ千里。

夢に見たあの子のために 第5話 千里

 

「バカヤロウが…」
金髪坊主は左手の人差し指と中指で挟んだメモを千里に向けて差し出す。
「………ここに電話しろって…」

 

メモに書かれている番号に電話する千里。

 

電話が繋がると、やあ中條君! と明るい声が返ってくる。

 

「…板倉!」
千里は怒りを隠さない様子で電話口ですごむ。
「てめえハナっから俺達をハメる気だったな!?」

 

「気づいてくれた!?」
はは、と笑いながら板倉が続ける。
「じゃあ話は早いね」

「こっから用件」

「メガネ君の事心配だろ? 外に出てみろよ」

 

言われるままに楼蘭の外に一歩出る千里。
「…何!?」

 

がん

 

千里は、すぐ横から後頭部への棒状の凶器による奇襲をモロに食らい、地面にうつ伏せに倒れる。

 

千里を取り囲むスーツ姿の男たち。

 

板倉はその中に立ち、目の前で倒れている千里をニヤつきながら見下ろす。

夢に見たあの子のために 第5話 板倉

 

千里の脳裏には見下ろしたようなアングルの寺の映像が歪んで流れている。

 

うつ伏せに倒れた千里の頭からは流れた血はアスファルトを濡らしている。

「よし…運べ」

完全に意識を失った千里の様子を確認する男たち。

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感想

惠南は本当に苦労したな……。かわいそうに。

 

犯罪を犯した親と、その実の子供には何の関係も無いはずだけど、社会は全くの無関係だと見てはくれない。

 

子供や配偶者までも目の敵にされてしまい、社会から排除しようとする動きがどうしても出て来る。

これは理不尽だけど事実だ。

 

これを社会の未成熟な部分に過ぎないから修正出来るのだと考えるか、それとも解決など出来ない人間の業だと受け入れるかは人によって違うんだろうな。

 

惠南の母がいうように、周りの人を巻き込んで罪の報いは降りかかってくるのだ。

 

惠南の母は亡くなってしまったけど、おそらく父はまだ生きているだろう。

 

仮に死刑だとしても執行までには時間がかかる。
今後、話に関わってくるかは分からないが、父の存在は頭の片隅に置いておこうと思う。

 

成長して惠南は強くなったが、今もまだベッドではなく床に座って眠るその様子から心に傷を抱えているであろうことはわかる。

 

過去、幼い千里の言葉に救われた一言が惠南の支えになっているんだろうな。

 

そして母の言葉が惠南の内に大切な教えとして息づいているから、前回「金貸し」を追い詰め、殺害する直前だった千里の行動を身を挺して止めた。

 

惠南は、復讐に燃える千里から目が離せないんだろう。

 

千里にしても惠南にしても、辛い過去があるから強くならざるを得なかったんだと思うと泣ける。

 

それにしても千里は幼い頃からかっこいいな。

ここから千里と惠南との絆が芽生えたわけだ。

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今回は、個人的には三部けい先生らしさが1話~4話よりもさらに出てきたという印象を持った回でもある。

 

自分にとっては「まさか」という展開をどんどん繰り広げるのが三部節なので嬉しい。

 

物語はまだ序盤であり、どうしても物語を展開するというよりは、登場人物の紹介や行動の動機を提示していく段階なので仕方ないとは思うけど、やはりこういう展開はいいなぁ。

 

まさか板倉がこんな悪キャラだったとは。

これ、予想してた人いた?(笑)

 

1話で千里に塾の金を取り返すように依頼した板倉は、実は千里たちがグルで、決まった手法で金を巻き上げていた集団だということを知っていたのかな。

 

しかし何故、板倉が金髪坊主曰く「本職」を動かせるのか?

 

そもそも何故千里たちを狙うのか?

 

板倉は実は金持ちかヤクザの親分の息子で、ファッションで不良やってるような半端な人間が気に入らないだけなのか?

 

そもそもこの板倉の行動は「火の男」の追跡に関係がある話なのか?

板倉は、千里が廃ビルの屋上で戦った、「火の男」を追っている?
自称「金貸し」の依頼主か? もしくは違う勢力として?

 

板倉の背後も、行動動機もまだまだ全然分からない。

 

これから、板倉の操る「本職」達ににさらわれた瀬島は、そしておそらく同じ運命を辿であろう千里はどうなってしまうのか……。

 

早く続きが読みたい。

 

以上、夢に見たあの子のために第5話のネタバレを含む感想と考察でした。

前回、第6話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

まとめて読みたい。

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