アンダーニンジャ第7話風と共に去りぬの感想(ネタバレを含む)と考察。中忍加藤、冴えないおっさん佐々魔に会いに行く。

第7話 風と共に去りぬ

第6話のおさらい

九郎は大野さんの部屋で、大野さんに川戸のブラジャーを身に着けていたその理由に関して訊ねていた。

 

必死に話の核心に触れないよう、話を逸らそうとする大野さんだったが、観念したように話し始める。

 

約2週間前、仕事を首になって、夜に泥酔してアパートに戻った大野さんは、外階段を登る途中で違和感にを覚えてふと頭を上げる。

 

すると、空中にブラジャーが飛んでいる事に気付くのだった。

 

大野さんは飛び去って行くドローンを追いかけて、傘の持ち手を使ってブラジャーを取り戻す。
そして階下から視線を感じてそちらに視線を送ると、アパートと塀の間にドローンを操作している少年を発見するのだった。

 

顔面が青ざめていた少年を、少年の霊だったと九郎に説明する大野さん。

 

しかし九郎は冷静に、それは最近性に目覚めた近所の中学生が操ってるドローンだと看破する。

 

そして、その出来事をすぐに川戸に説明してブラジャーを返せば問題なかったのでは、と大野さんに問う。

 

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大野さんは少年の霊を目撃した恐怖により自室に猛ダッシュで駆け込み、泥酔していたこともあって吐いてしまったのだという。そして、よりによって、手に持っていたブラジャーにそれをぶちまけてしまったと説明する。
翌日にはコインランドリーで選択したものの、しかしブラジャーを洗って川戸に返したら変かなと思って返せずじまいだったと大野さんは九郎から顔を逸らす。

 

「大野さん ブラジャー着けてた理由がまだ出てません」
冷静に突っ込む九郎。

 

大野さんは九郎にブラジャーが見つかることを恐れ、自ら身に着けることでそのリスクを回避しようとしたのだという。

 

大野さんの所有物は大体把握してる僕でも気づきませんでしたよ、と九郎。

 

そして大野さんは自分にも非はあるが自分は決してブラジャーを盗んでなどいないので、九郎も一緒に川戸にこの件について説明してくれないだろうか、と持ちかけるのだった。

 

「嫌です」
即座にそれを拒否する九郎。

 

翌朝、起床した川戸はニュースの音声に耳を澄ませていた。

 

「練魔区子犬町二丁目の路上で襲われ 男性は体の一部を切り取られ重傷で警察は通り魔事件として」

 

それを聞き、近いな…、と記憶に留めるのだった。

 

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練馬区役所に配達業者の恰好をした中忍が入っていく。

 

忍者志望の外国人に対応した公務員が、その中忍の姿に気付くと、同僚にトイレに行くと言って仕事を抜け出す。

 

中忍は上層階から街の眺望を見つめながら思う。
(練魔区…… 練魔一族の繁栄も今は昔……)

 

「よっ」
トイレと言って仕事を抜けてきた課長が中忍に柱越しに挨拶をする。

 

早いな、と応じる中忍。
そして中忍は、練魔区内で男性器を切り落とされる事件が起きた、と切り出す。

 

警察の仕事でしょ ”我が社”には関係ない、と課長。

 

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中忍は、事件現場の壁に『忍者になりたい』と描かれていたと説明を始める。
それも描かれていた文字は日本語、英語、ロシア語であり、なんと切り取った男性の局部をペン代わりにして付近の外壁に描かれていたという。
血文字は”我が社”の清掃部門が消したものの、既に一般人により血文字の写真は撮られており、ネットにアップロードされた画像は現在も拡散中だという。

 

しかし課長は、いつから入社試験がチンコ切りになったんだ、と驚きもしない。
そして、昨日忍者志望の外国人来たことを報告する。

 

その情報を上にあげてくれ、と指示する中忍。
「以前もウチに入りたいバカが連続無差別殺人起こしたからな」

 

「今後も続くってこと? コワイねー」
課長は去っていく中忍を一瞥もせず、”我が社”のイメージにも関わることだし、ヒマな奴に処理させてよ、と呟く。

 

「……ああ ひとりいるな……」
中忍が呟く。

前回第6話の詳細はこちらをクリックしてくださいね。

 

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第7話 風と共に去りぬ

佐々魔

配達員の格好をした中忍が住宅街を行く。
向かった先はエゴ田駅北公園。

 

園内ではタンクトップ、ボロボロのズボンを身にまとい、髭が伸び放題のおっさんが搾乳機を片手に大勢の子供を追いかけ回している。

 

母乳を飲め、と搾乳機を突きつけるおっさんは子供達から”母乳おじさん”と呼ばれ、珍妙なモンスター扱いを受けていた。

 

その光景をなんの表情も浮かべることなく冷静に見つめる中忍。

 

間も無く、子供達を追いかけていたはずのおっさんは子供達に囲まれ袋叩きに合っていた。

 

おっさんは、お前らそれでも人間かぁ〜、と情けない声を上げながら、体を丸めて子供達の攻撃を耐える。

 
 

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中忍は特におっさんや子供達に干渉することなく彼らの近くのベンチに腰掛ける。

 

タバコある? と中忍に問いかけながら、おっさんが立ち上がる。

 

タバコは吸わないんでと返す中忍。

 

おっさんは、ふんっ、と鼻を鳴らし、中忍の隣のベンチにドカッと座り込む。

 

「お久しぶりです 佐々魔さん」
中忍は、おっさん––佐々魔に視線を向けることなく呼びかける。

 

「加藤」
佐々魔もまた、視線は目の前で楽しそうに駆け回る子供達を見つめている。
「子供のいる前だ 仕事の話は別の場所でだろ」

 

そして佐々魔は、近くにバーがあるのでそこで話そうと加藤を誘う。

 
 

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UN

音大通り広場にやってきた佐々魔と加藤。

 

佐々魔はベンチに腰掛けて搾乳機を自らの乳首にあてる。
「加藤 母乳飲むか?」

 

「結構です」
加藤は佐々魔とは別のベンチに、まるで佐々魔となるべく距離を取ろうとしているかのように一番遠いところに座っている。
「佐々魔さん 金ないんですか?」

 

搾乳機をキュポキュポしながら、ああ、ないな、と即答する佐々魔。
子供達にせびられ、下忍の給与ではすっからかん、とその理由を説明する。

 

加藤は一つため息をついた後、なぜ降忍したのかと佐々魔に問いかける。
「それも何かの任務ですか?」

 

「加藤 トンブクトゥでの戦闘はやばかったなぁ」
佐々魔は搾乳機を握り続けながら続ける。
「周囲数キロを完全に包囲されて逃げ場がなかった」

 

「加藤 俺の背中を任せられるのはお前を含めて数人だけだ」
佐々魔の頭髪の中で、鳥の雛が鳴いている。
「お前らに背中を任せて俺も前に進もうと目の前にある扉を開けていったよ」
搾乳機を加藤に向け、母乳を飲め、と呼びかける。
「次々と扉を開けた先にあるのは出口では無く扉だった 虚しいもんだぞ加藤」

 
 

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「・・・・それは」
成分のよくわからない液体は飲みません、と俯き加減になりながら帽子のつばを持つ加藤。
「組織への批判でしょうか? 佐々魔一等忍尉」

 

「『元』な・・・・」
淡々と言葉を続ける佐々魔。
「戦後70年以上経過しても内閣総理大臣は我々の最高指揮監督権を有していない」

 

「警察官29万人 自衛官23万人 そして我々は20万人 その内9割以上が国内にいるのはなぜだ」

 

加藤は佐々魔の言葉をじっと聞いている。

 

「なぜお前ら中忍トップクラスが海外派忍を早々に切り上げ国内忍務に従事するのか?」

「この巨大暴力組織がなぜ 国家によるシビリアンコントロールを受けていないのか?」

 

辺りに一陣の風が吹く。

「U」
「N」
一言ずつ切るように加藤が呟く。

 

そうだ、と同意する佐々魔。
「全ての謎はそこにつながる」

 

「『アンダー』『ニンジャ』」

 

一斉に舞い上がる落葉。
加藤が風から顔を守ったその一瞬のうちに、佐々魔は姿を消していた。

 

「ちっ 逃げたか」
加藤は広場を後にする。
(しかし・・・・そろそろきな臭い動きがあるのか?)
住宅街を歩く。

 
 

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川戸に迫る影

仕事帰りの川戸は、帰り道にkeepoutのテープが張り巡らされている為、立ち往生していた。

 

今にも小が漏れそうだった川戸は一回は我慢しようとするも、近くの車が止まっている駐車場へと足早に向かい、車の陰で用を足す。

 

「ふー」
一息つく川戸。
自分のした小便で溺れているアリに、ごめんなさい、と謝罪する。

 

地面に広がっていく小便。
その広がっていく先、車輪の陰から、男性の局部を切り落としている犯人で、忍者志望の外国人が寝転がった状態で現れる。

 

川戸は外国人の存在に気づいていない。

感想

タイトル回収

アンダーニンジャ。
タイトル回収。

 

加藤が「UN」って言った時は、なんで国連? と思った。(笑)

 

連載開始時点では、アンダーニンジャと言うのはつまり直訳すれば下忍のことであり、つまり九郎みたいな下忍にフォーカスを当てた話かと思っていた。
でも、どうやらこの話はそういうコンパクトな世界観の日常物にはならないっぽい?

 

まぁ、それは忍者志望の外国人の背景がわかってきたあたりから何となく感じていたことだったけど・・・。
そもそも1話冒頭は海外派忍されていた忍者による仕事の描写だったっぽいし。

 

今回の佐々魔の言葉は、物語の根幹に関わる壮大な謎を読者に匂わせた。

 

忍者は警察、自衛隊と並ぶ巨大実力組織。それも国家の統制を受けていない。

 

忍者の中には、それこそ自衛隊のように海外に派遣されて任務をこなしている者もいる。
加藤のような中忍トップクラスの優秀な忍者が海外から呼び戻されて、国内任務についているらしい。

 

佐々魔は自分の背中を任せられるのは加藤を含めて数人だけと言った。
どうやら大半の忍者、そもそも組織自体に信用が置けないらしい。

 

佐々魔が、扉を次々と開けていった先は扉だった、と言ったのは、それだけ深い闇に閉ざされた組織ということだろうか?

 
 

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今後の展開

佐々魔は初見では人生を捨てたおっさんかと思った。
しかし実は加藤の上司でそこそこの地位に就いていたようだし、その方法はちょっとおかしいけど子供を可愛がる好人物(と言っていいのか?)のようだ。

 

佐々魔曰く”中忍トップクラス”だという加藤がわざわざ会いにいくあたり、かなりの実力の持ち主に思える。

 

佐々魔は今後も出てくるのかな。冴えないけど実は実力者、みたいなキャラは好きなんだよなー。

 

あと、1話から出てきていた中忍、加藤。
今回でようやく名前が判明した加藤だが、彼の行動もやはりまだ謎が多い。
その行動は、組織の仕事はきちんとこなしつつも、佐々魔と同じように組織の謎に迫ろうとしているようにも見える。

 
 

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気になるのは、そこに九郎や川戸がどう絡んでいくかだな。何となくだけど、この三人は仲間になっていくような気がする・・・。本当にただの勘に過ぎないけど・・・。
武装したこの三人が並んだら結構良い絵になるんじゃないかと思う。

 

この話は彼らが組織の謎に迫って、戦いに身を投じていく話になるのか。

 

佐々魔が過去にくぐった修羅場を匂わせたように、彼らにもハードな展開が待っていそう。

 

次回、忍者志望の外国人と川戸は果たしてどうなるのか。
川戸には戦う理由はないし、外国人からしたら切り落とすものはないし、普通に戦うことなく終わりそう。
でも何かしら面白いことが起こることを期待したい。

 

以上、アンダーニンジャ第7話のネタバレを含む感想と考察でした。
第8話に続きます。

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