零落(浅野いにお)の最新第4話ネタバレ感想と考察。店を辞めるちふゆ。震える深澤のとった行動。

第4話
零落 第4話 深澤

零落 第3話のおさらい

マンガのランキング雑誌の取材に答えている深澤。
零落 第3話 深澤
ライターの質問が気に入らず、空気をぶち壊してしまう。
零落 第3話 塚田とくぅ~太郎
同行した漫画編集者との帰り、打ち合わせでもと喫茶店に誘った深澤は編集者に断られる。

連載を持っている作家を優先する編集者に自分の立ち位置を思い知らされる深澤。

深澤はやりきれない思いからか、風俗でちふゆを呼び、癒しを求める。
零落 第3話 ちふゆ
牛丼を食べて帰宅すると元アシスタントの冨田がやって来る。

先日もらった余分なアシスタント代は返すからハラスメント行為を認めろと深澤にしつこく迫る冨田。

深澤はこれを強く拒否し、冨田は帰り際、弁護士にこの件を委ねると言い残していく。
零落 第3話 冨田
その後母から電話がかかってくるがどんどん落ちていく自分の現状をそのまま伝えることなく、変わりなくやっていると報告し仕事だからと電話を切る。

またも癒しを求めてちふゆに逢いに行く深澤。

自分のことは何も知らないちふゆとの静かで不思議な言葉のやりとりに魅了されていく。
零落 第3話 ちふゆ
事を済ませ、エレベーターを待つ二人。

また会える? というちふゆに予約とり辛い、と答える深澤。

「そう? じゃあ頑張って?」

ちふゆの頭を抱きしめる深澤。エレベーターが到着して扉が開いてもそのままの二人。
零落 第3話 ちふゆと深澤
帰り際、ちふゆに名前を聞かれた深澤は「君が好きに決めたらいい」と答える。

ちふゆはそうね、と静かに笑い「あなたはあなた」と言って去っていく。
零落 第3話 ちふゆと深澤
深澤はその背中をずっと見つめていた。

前回、零落第3話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

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零落 第4話のネタバレ感想

深澤は飼っている白猫のチーの顎を撫でている。

首にかけているタオルで頭を拭きながら、サイドボードに置いてある町田のぞみからのメモを見る。

あれから色々考えました。
私はやっぱり薫くんの漫画が一番好きだよ
             のぞみ

零落 第4話 のぞみのメモ
南大沢駅。

おーい深澤、と山石が駅から出て来た深澤を見つける。

気付いて山石に近づいていく深澤。

深澤を近くで見るなり相変わらずひでえ顔色だと言う山石。
零落 第4話 山石
うちに来るのははじめてか、という山石に、前に行ったときは独身の時だったと答える深澤。

山石の住むマンション。

深澤が、これ子供に、とおみやげを渡す。

そういう気が遣えるようになったか、と笑う山石。

山石は、妻の綾子に大学の同期で漫画家だと深澤を紹介する。

サインとかもらってもいい感じ? という綾子。

もちろん、と答える深澤。

山石の子供が背後の綾子に両肩を持たれて、深澤をじっと見つめている。
零落 第4話 山石の子供と嫁
深澤は、山石が父親になったと言われても実感が湧かないと感想を零す。

子供は母親のもんだからな、と答える山石。
生まれてからしばらく父親の実感が出来なかったが最近話が通じるようになってきた、と続ける。

環境が良く、妻も専業主婦をやれていて盤石な家庭だと評する深澤。

山石は、市が教育に力を入れていて子育てには良い環境だと答える。

本棚に13巻までずらりと並ぶ「さとならサンセット」。

「俺の漫画…言ってくれたらあげたのに…」

一応買った、でも悪ぃ読んでねぇ、と深澤を見ずに答える山石。
零落 第4話 山石と深澤
深澤は、いいよ、若い奴らが読むものだから、と答える。

若い頃は狭い部屋に天井まで漫画で埋め尽くされていた深澤の部屋がたまり場になっていたと思い出して語る山石。

来月の別居にむけて溜まった漫画をどう処分しようか迷っているという深澤。

「…結局町田さんが出て行くのか?」

深澤は、彼女は会社の近くに部屋を借りるし、俺も仕事場を引き払うと答える。

「…まぁいいんじゃね? お互い頭を冷やせば?」

俺にとっては別居は離婚の為の前準備だと答える深澤。
「やり直そうにも関係に溝ができてから時間が経ちすぎた」

山石がベランダに出て、景色に目を投じる。
「だったら同じ時間をかけて修復すればいい。」
「長い人生なんだからそういう時期があったっていいだろ。」

まぁね、と答える深澤。
しかし、例えば10年後、それでもうまくいかなかったら、俺も町田も50歳手前だと続ける。

離婚して町田が他の男を見つけて、その男が子供を欲しがるかもしれないから年齢的にも離婚は急いだ方がいい。人生を再設計する時期なんだと思っている、と語る。

20代の頃はどちらも仕事に夢中で、子供を持たずに歳をとることに想像力が足りていなかったと述懐する深澤。
漫画を一生死ぬまで向き合う価値のある仕事だと信じ込んでいたと続ける。

山石の運転する車の中。

「お前少し頑張りすぎたんだよ。少し休めって。だれもそれを責める奴はいないだろ?」

暇の使い方なんて忘れた、と無表情の深澤。

山石は運転席から、車から降りた深澤に、離婚届の証人なんて理由ではなく、今度は大学のゼミの奴らも誘って集まろうと声をかける。
零落 第4話 山石と深澤
「あまり離婚の理由を嫁さんの方に責任転嫁するなよ? お前はお前のしたいようにしてるだけ。お前はそういう奴だろ昔から。」

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ちふゆが辞めることを知り震える深澤

深澤は喫茶店で編集者の徳丸電話をしている。

新作の件で煮詰まっているので編集部に伺って打ち合わせを、という深澤。
会議中だから折り返す、と電話を切られ、ゆっくり耳からスマホを離す。

雨の降る中、タクシーに乗車した深澤は行先を告げる。

スマホでツイッターを開くとファンのアカリからの返信が来ている。

アカリ@akari pikapikari
@fukazawa_kaoruごぶさたせんせー!お元気ですか?
こっち(福岡)はもう真夏ですよー!
たまには何か呟いてくださいねー。
この間のZENのインタビューも読んじゃいました…
いつも真剣なせんせー素敵です新作楽しみに待ってます!

零落 第4話 アカリ
運転手が、さっき乗せた有名人カップルの話題を振ってくる。

深澤は無視してアカリに返信している。

↓ アカリさんへの返信

@akari pikapikari 元気だよ!いつもありがとう!

運転手が無視する深澤に一向にかまわず、あれが誰だったかと一人しゃべりながら考えている。

朝。

作業机の上、パソコンのモニター前で突っ伏していると、つけていたテレビから松浦かりんの特集が流れて来る。

売れっ子女性漫画家の松浦かりんがインタビューを受けている形式で番組が進行していく。

途中、松浦かりんの普段の素顔を担当編集者に聞いた、とナレーターの語りのあとに出てきたのは町田のぞみ。

「松浦先生はいつも気さくで楽しい方で、それでいて作品も天才的、本当に素晴らしい作家さんです。」
零落 第4話 町田のぞみ
チャンネルを変える深澤。

テレビは関東の梅雨明けと、日中が30度の真夏日になることを伝えている。

ベランダに出て俯いている深澤。

風俗に電話をしていた深澤。
「ちふゆ」は本日予約いっぱいだと電話先からの断りの声のあと、深澤さまですよね、と続く。

戸惑い気味に、はい、と答えた深澤は、いつも「ちふゆ」を指名していることに対する感謝と、今月一杯で彼女が辞めることになっているのだと告げられる。

…え? とあっけにとられる深澤。

なので出勤表を確認して早めに予約を、言われ、深澤はパソコンでちふゆのプロフィールページを開く。

「…え?」

マウスを持つ手が小刻みに震える。
零落 第4話 深澤
「え……」
左手で口元を押さえる。

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ダメ元でちふゆに近づく深澤

「…珍しい。」

ベッドの上でちふゆを抱きしめる深澤。

いつもは90分なのに今日は120分だというちふゆ。

予約取るのに必死だったという深澤。

深澤から離れたちふゆ。
「そうなの? あなた、仕事は?」

今は暇な時期だから、と答える深澤。

「いいね。あなたも旅行でも行ったら?」

お風呂をためるか問うちふゆに今日はいい、と断り、おもむろにちふゆの手をとる深澤

ん? と不思議そうなちふゆの腿に頭を乗せる。
零落 第4話 ちふゆと深澤
赤ちゃんみたい、とちふゆは笑い、深澤の頭を抱きしめる。
「どうしたの? あなた今日少し変ね。」

「うん…店の人に今月で辞めるって教えてもらった。」

「んー…」
一瞬の間の後。
ちふゆは、うん、と答える。
「ちょっとだけ実家に帰ることになった。」

深澤は起き上がってちふゆを見上げる。
「…どうして?」

ちはゆは、祖母が病気で倒れ、面倒を見ることが出来る家族が自分しかいないと答える。
夏休みの間だけの約束で、大学が始まったら戻ってくるから別に良いんだけど、とちふゆは付け加える。

ちふゆは、友達もいないし退屈だろうし、そもそも地元が好きではないと薄く笑う。

二人はしっかり指を絡めて手を繋いでいる。

俺も途中までついていっていい? と問う深澤。
「君の地元の方まで送って行くよ。」
「ちょうど暇だし別に他に行きたい所もないし……」

深澤の肩に頭をもたれさせたまま、んー、と考えるちふゆ。

深澤から離れる。
「オッケー。地元の方なら少しは案内できるよ。」

ちふゆは、田舎だから何もないけど、とスマホを操作する。
「ラインのIC教えて。QRコードでもいいよ。」

えーっと、ID? と戸惑う深澤に、私が入力するから、とちふゆが手を伸ばす。
零落 第4話 ちふゆと深澤
操作したスマホを、はい、おじいちゃん、とちふゆが深澤に返す。

「赤ちゃんだったり年寄りだったり忙しいな……」

深澤はスマホの画面に表示されている「新しいともだち」の欄にある「ゆい」の文字を、これ、と指さす。
「…なんかイメージと名前違う。」
微笑を浮かべる深澤。

「ふふん。」
ベッドに両手で頬杖をついているちふゆ。
「気にしないで。」
零落 第4話 ちふゆ
夜は更けていく。

何日か後。

上野駅公園口。

蝉が鳴いている。

賑やかな人波。日陰でベンチに腰掛けて休んでいる人たち。

深澤は時計を気にしながら、柱を背にして立っている。
零落 第4話 深澤
じっと待っていると、おはよう、と声をかけられる。

ちふゆがいる。

…あ、と声を漏らした深澤。

…ん? と反応するちふゆ。

「…本当に来たと思って。」
ぽつりと言う深澤。
その表情には微笑が浮かんでいる。

「…私も。」

「びっくりした……」
ちふゆをじっと見つめる深澤。
「…なんかいつもと服の感じが違うから。」

「いつもは店の人が用意したの着てたから…」
ちふゆは口元をスマホで隠す。
「へん?」

黙っている深澤に、電車が来ちゃうから、とちふゆが移動を促す。

深澤は戸惑いながらちふゆについて行く。
「あ、あの……本当について行っていいの?」

ちふゆは無言で深澤の手を握り、電車の改札に引っ張っていく。
零落 第4話 ちふゆと深澤

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感想

深澤は結構良い人に囲まれているように思うのは勘違いなのかなぁ。

山石は極めてまともな、常識的なアドバイスをしているし、のぞみだって別に深澤のことが嫌いなわけじゃない。
まぁ、のぞみに関してはそもそも深澤が一方的に嫌いだと言っている状況なわけだが。

ただ、誰も彼もが深澤の表層的な部分だけを見て通り一遍の言葉をかけているだけのようにも思える。

のぞみにしても山石にしても、深澤の敵ではないにしろ、終始変わらない深澤の無表情を突き崩すような、深澤の本当の気持ちには触れるような行動は起こしていない。

ただ、それを抜きにしても深澤は山石が指摘したように「したいようにしてる」だけのように思う。

自分の得ているものが目に入らず、ない物ねだりをしている感じというのか。

ちふゆにどうしようもなく惹かれ、癒されている深澤。

無自覚な猫顔の彼女への執着。

1話冒頭の昔付き合っていた猫顔の彼女と別れたことが、先行き不確かな状況を生んだ起点になっているのか?

深澤はかなり面倒くさい男なんじゃないだろうか。

この世は自分も含めて面倒くさい男ばかり。
まぁ、面倒じゃない男の方が少ないと思うけど、と自己擁護も含めて主張しておく(笑)。

相変わらず編集からは冷遇されている印象を受けるが、ただ本当に忙しいだけという可能性もある。

嫌なことがあると、あらゆる物事をネガティブに捉えがちだからだ。

ただ、売れっ子漫画家の松浦かりんに対しては嫉妬してるし、自分をないがしろにしてまで彼女を支えるのぞみにも腹が立っているんだろうな。

松浦かりん。あのモデルはおそらく東村アキコ先生だろうなぁと思う。

浅野いにお先生は少なからず彼女のことを無視できない存在だと考えているんだろうな。

本当に売れている漫画家だし、定期的、というわけではないけど割とテレビへの露出がある作家だから気にかかるわな。

そして、意外な形で進展した深澤とちふゆ。

風俗で働いている子はある日突然いなくなる。

深澤はそれを完全に失念していたようで、ちふゆが辞めると聞いた時には腕が小刻みに震えていた。

自分が縋っているものが、想定外の形で失われようとしているのは怖いだろう。

慌てて予約した深澤のちふゆの田舎について行く、というダメ元の申し出がなんと通ってしまった。

連絡先を交換したし、きちんと待ち合わせにも来ていた。

深澤はちふゆがいて相当救われているが、ちふゆもまた深澤から何かを受け取っているのだろうか。

女は慈善家ではない。何かを深澤から得ているはずだけど、今のところそれは分からなかった。

この旅は深澤を救うのか。続きが楽しみ。

以上、零落の4話ネタバレ感想と考察でした。

次回第5話に続きます。

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