響 小説家になる方法 第34話リテイクのネタバレ感想と考察。リカのデビュー作がイマイチの理由。

第34話 リテイク
響 小説家になる方法 第34話 リカと響

リカと花井の出会い

花井が戸惑いながら「『木蓮』編集部の花井」と自己紹介する。

ric@さんよね、とおそるおそる年を聞く。

 

リカが笑顔でカフェのメニューを開いている。

東京は滅多に来れないから食べられるだけ食べて良いかと花井に問い、注文をするリカ。

注文の最後についでのように「アタシ中3」と花井の質問に対する答えを付け加える。

 

花井は、中3!? と驚く。

 

あまりの若さに驚く花井に、後輩はババアと言ってくるし、と若くないとうそぶくリカ。

 

花井は、学生だったら会いにいったのに、と謝る。

 

小遣いを前借りして電車賃を稼いでまで来たので、パンケーキで元をとる、とリカ。

 

花井の事も若いと言い、年齢を問うリカに、花井は24と答える。
響 小説家になる方法 第34話 リカ
花井はホントにric@さんよね? と問う。

そーだよー、と花井に向けてピースを突き出すリカ。

 

ホームページにアップしている小説を読んだ、と話を切り出す花井。

小説を面白かったと褒める。

 

「ありがと。超嬉しい!」

リカは頬を染める。

 

あまり褒められ慣れてなくて泣くからやめて、と冗談めかして言うリカに、メールで感想がこないかを問う花井。

 

リカは、オリジナルで純文なんて誰も見ないからこない、と即答する。

 

面白いのに、と言って、花井は発表する場所を選べば絶対評価されると真っ直ぐリカを見て言う。

 

「メイキング」という小説が面白かった、と小説の内容を褒める花井。

 

花井が褒めているとリカが涙を浮かべている。
響 小説家になる方法 第34話 リカ
ぎょっとする花井は、どうしたの? と問う。

 

「言ったじゃん、泣いちゃうって。」

涙を拭うリカ。

「小説面白いって、初めて言われたから。」

 

うー、と泣いているリカに、うちでデビューを目指さないか、と笑顔で誘う花井。

 

リカは若いし、これからもっと伸びる、とテンションを上げる花井。

 

リカは両掌で顔を覆ったまま、これ以上褒めないで、と泣く。

「嬉しいよー…」

 

まだ中3だし、デビューについてはゆっくり考えて、と笑顔の花井。

 

リカは素直に、うん、と返事する。

 

花井は定期的に会うことを提案し、リカに本名を尋ねる。

 

「…祖父江、凛花。」

 

「へー、祖父江さん…ん?」

 

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リカを甘やかさない響

場面転換。

 

祖父江家。

 

玄関のドアの前で膝を抱えて座り込むリカ。

「最初は、1日に四季がある国をただ書いてみたかったの。」

「春に目が覚めて夏に働いて秋になったら家に帰って冬がきたら寝て…」

 

響はリカの前に立ち、リカの話をじっと聞いている。

 

リカは、そこから花井の助言がどんどん入ってきて、相談の結果「外の国」を作ることになった、と言う。
響 小説家になる方法 第34話 リカと響
「『四季の国』の1日が、『外の国』だと1年経ってる。その差異を見せることになって。」

「世界が2つだとストーリーが複雑になっちゃって、ふみちゃんが、じゃあ、いっそ『四季の国』はキャラ一人に絞ろうかなって。」

「一人の孤独な女の子の話になって……」

 

最初に私が考えてたのと、全然違う話になって…、とリカの言葉が途切れる。

 

響はリカの前にしゃがみこみ、リカが膝に乗せている腕に手を乗せる。

 

「……響ちゃん?」
涙に濡れる瞳を響に向けるリカ。
響 小説家になる方法 第34話 リカ
「リカ、」

リカを覗き込むように見据える響。

「ふみは、つまんない小説を書けって言ったの?」
響 小説家になる方法 第34話 リカと響
あまりにも自分を容赦なく突き放す響の唖然とするリカ。
響 小説家になる方法 第34話 リカ
花井からのアドバイスで生まれて取り入れたものは、リカも納得していた。

結果つまらなかったならそれは書いたリカの責任だろう、と続ける響。

「人のせいにしちゃいけないわ。」

 

リカはぽかんと口を開けて響を見ている。

 

リカは響の両手に、自分の両手の拳を押し付け二人の押し合いになる。
響 小説家になる方法 第34話 リカと響
リカは下を向いて涙を浮かべている。

 

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花井に自分の気持ちを堂々と伝えるリカ

リカのスカートのポケットにあるスマホから着信が鳴る。

 

電話に出ると花井だった。

開口一番に芥川賞残念だったという花井の言葉を聞くリカ。

 

リカは再び膝を立てて地面に座る。

正直言うね、と前置きし、外の世界は「四季の国」との比較が面白そうだった、と告白するリカ。

「でもね、……正直、私、孤独な女の子の気持ちとか、全然わかんないよ。」

 

「……そっか。それは書く前から気づいてたの? それとも…」

 

「…前から。」

 

花井は自分の助言が悪かった、謝り、続ける。

「でもね、だったら――」

 

うん、だから、と花井の言葉が終わる前に話始めるリカ。

「次はちゃんとぶつかる。言いたいこと言う。でも、私のこと嫌わないで。」

 

バカな心配しないの、と笑顔の花井。

「どれだけ揉めても喧嘩しても、私はリカちゃんのこと大好きだから。」
響 小説家になる方法 第34話 花井
目に涙を浮かべたまま笑顔になるリカ。

 

花井が響に電話しても繋がらないが、響がそこにいるかどうかとリカに問いかける。

 

リカは一瞬無言になるが、すぐに目の前にいる響にスマホを差し出す。

 

響が電話に出ると、芥川・直木賞のノミネートの件を知っているかどうか問う花井。

 

響は、テレビで見たと答える。

 

会社に取材依頼が来ている報告を受け、そういうのいい、と響は即断る。

 

電話が終わると、リカが笑顔で話しかけてくる。

「天下の文学賞にダブルノミネートか。ホントこれからどうなるんだろーね。」

 

大げさよ、と即答する響。

「少なくとも私はどうもしない。」

 

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「響をどうするか」会議

場面転換。

小論社喫煙室。

 

丸イスで車座が組まれている。

 

各イスに座っているのは編集長、営業部部長、文芸編集局局長。
響 小説家になる方法 第34話 「響をどうするか」会議
緊急の『響をどうするか』という議題の会議が行われていた。

 

「取材NGかあ。」

編集長が困ったような笑顔を浮かべている。

「『木蓮』で新人がここまで注目されることって初めてなんだけど。まあ…あの子は…」

 

「花井、『お伽の庭』の単行本の発売予定日は?」

営業部部長が花井を見ながら問う。

 

2か月後、2月10日ですと答える花井。

 

「それさあ明日になんない?」

 

は? と固まる花井。

 

「…っていう、書店からの問い合わせがきてんだよ。」

煙草を吸う営業部部長。

「今、まさに今日が売り時なんだけどな…」

 

「50年ぶりの芥川賞・直木賞ダブルノミネート。しかも最年少、女子高生。」

文芸編集局局長が続ける。

「ってのに、売るモンもなくて取材もダメか…」

 

コメントだけでもとれないか? という局長に、いや、何を言い出すか、と編集長が応じる。

 

(現場のトップが響のために…)

花井はその様子を立ったまま見ている。

(そして、ここにいるみんな、新人賞受賞式の現場にいたのよね……)

 

黙りこくる一同。

 

当面は覆面作家って方向がベターかと、と編集長が口を開く。

世間に無理やり引っ張り出した挙句何かやらかして、結果、単行本発売中止になったら、と続ける。

「響の個人情報は一切外に出てないんだよね。」

 

編集長に問われ、響はSNSもやってない、と答える花井。

「マスコミが自力で響と接触することは絶対ありません。」

 

場面転換。

リカの家からの帰り、住宅街を読書をしながら歩いている響。

 

「そこの君、ちょっといい?」

響の背後から男が声をかける。
響 小説家になる方法 第34話 響と記者
「ひょっとして『お伽の庭』を書いた響さん?」

 

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感想

リカは小説の才能がある。

 

自分で自分の小説のウィークポイントを理解して、それが生じた理由も明確に答えることができた。

 

ただ、響が天才過ぎて霞んでしまっているだけ。

 

一方、芥川賞直木賞にダブルノミネートという快挙を果たしたにもかかわらず全く嬉しそうな様子を見せない響。

 

泰然自若としている響をよそに響の周囲、そして社会は大騒ぎになる。

 

異常なまでの達観っぷりというのか。相当変人だと思う。

 

響は、思ったような作品を書けなかった、と泣くリカにも、通常、友達なら励ましても良いところで容赦なく辛辣な言葉、正論を浴びせかける。

 

恐ろしいまでのマイペースさ?

 

いや、マイペースと評するのは何か違うな……。

 

響は周囲の環境に左右されず、自分が思ったことを躊躇なく表現できるということだと思う。

周りからの評価はそこまで重要ではなく、自分がどう思うかが重要なんだろう。

 

芥川賞・直木賞のダブルノミネートが決まった時より、1巻で花井に自分から電話をかけ、『お伽の庭』を口頭で絶賛してもらった後の方が遥かに嬉しそうだった。

 

それは、花井との電話を切ったあとの響の心の中の声が表している。

 

(私は、間違ってないんだ。)

 

絶賛を受けたこともそうだが、それ以上に自分が良いと思っていた価値観を認めてもらえたことで、自分の価値観が間違っていないと確信出来たことに対して喜んでいた。

 

電話を終えて部室に戻り、響は笑顔を浮かべて、ペン先で何度も涼太郎をつつく。

 

響が最も大きなリアクションで喜んでいたのはこの時くらいではないだろうか。

 

『お伽の庭』を投稿したのは自分の価値観を世に問うためであり、花井は響の表現したかったことを理解し、そこから感じ取った価値観を最高の形で認めた。

 

芥川賞・直木賞に関してはおまけに過ぎず、既に花井との電話によって響の求めていたものは得られていたということではないだろうか。

 

大して喜んでいない芥川賞・直木賞のダブルノミネートに関しては、会社や世間は大きく評価しているが、それは響自身にとってはそこまで大した価値が無いものなのだろう。

 

この感性があるから『お伽の庭』が生まれたんだろうな。

 

 

以上、響 小説家になる方法 第34話 リテイク のネタバレ感想でした。

35話の詳細は上記リンクをクリック。

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