ハンターハンター第363話念獣のネタバレ感想と考察。牙を剥く王室警護兵。

第363話 念獣

念の知識に遠いチョウライ王子

チョウライ王子(第3王子)が警護兵たちと廊下で会話している。

 

軍内部からのワブル王子(第14王子)の王室警護兵が全滅して残りは外部から雇ったハンター2名という情報を自分の警護兵から聞くチョウライ。

 

チョウライは、誰かわからないが、赤子から狙うとは、と呟き、待てよと何かに気づく。

 

最下位の王子に付く警護兵は全員他の王妃に帰属している。

なら全滅と言う状況はおかしい。

疑いから距離をとるために味方もろとも始末してしまったのかと推測するチョウライ。

 

チョウライに傍らの警護兵が自分たちが知らない「ネンジュウ」という言葉が警護兵全滅に関わっているのではないかと話す。

 

それを受けて、チョウライは顎に指を置いてまた思案する。

スポンサーリンク



ベンジャミン王子とカミーラ王子の小競り合い

セレモニー会場。

 

「お父様 カミィね ハッキリさせておきたい事があるの」

 

カキン王に、継承戦の脱落者の条件を「生物学的死」にして欲しいとお願いするカミーラ王子。

 

その表情は、自分が「脱落者」になることなど一ミリも考えていない。

 

それを受けてカキン王はチョウライも王になる条件を聞いてきたと答え、一字一句違えず答えると続ける。

 

「生き残った唯一名が正式な王位継承者」

 

この言葉の解釈も含めて継承戦なのだ、と答えるカキン王。

 

「下らぬ心配だなカミーラ」

カキン王とカミーラが話すその背後にベンジャミン王子(第1王子)が立っている。

 

ベンジャミンは、王となる前提で継承戦に臨むのであれば定義に拘る必要は無いとカミーラに言い放つ。

 

カミーラは、カミィはイヤ! とベンジャミンを即座に否定する。

世界中の人間を自分の思い通りに動かしたい。

自分以外の王子には死んでほしい。理想を言うなら自ら進んで死んで欲しい。

 

「『カミーラが王になるのだから私は死ぬべきだ』って思ってほしいの!」

その瞳に一切の気負いも気後れも無い。

 

それで当然、と信じて疑わない確固たる精神がある。

 

「何という思い上がった女よ…!!」

カミーラの発言に業を煮やすベンジャミン。

「貴様に王の座など狂犬に子守をさせる様なもの!!」

 

「バカじゃない?」

ベンジャミンの剣幕を物ともしないカミーラ。

真正面から顔を見返して言い放つ。

「カミィは子守なんかしないわ! どいて!」

 

カキン王の目の前でにらみ合う二人の王子。

 

カキン王は、カミーラに呼びかけ、兄に敬意を払いなさいと一言注意する。

 

それを受けてカミーラはベンジャミンにカキン王の前を譲る。

 

(許せない…!! 間違ってるわこんな世界!!)

(もう…! カミィが自分で変えるしかない!)

カミーラの背後の守護霊獣が、そのイソギンチャクにも、木にも似た体躯、房の中心から黒い顔を覗かせている。

(願っただけで実現しないなんてどれだけ理不尽なのかしら!!!)

 

立ち去るカミーラの背を見送るベンジャミン。

「父君」

カキン王に向き直り、カミーラの振る舞いを浅ましいと言って、長兄として恥ずかしいと続ける。

「このベンジャミンが責任をもって枝打ちし!! カキンの大樹を守る事この場で誓いまする!!」

その身に怒りを充満させたベンジャミン。

 

期待している、と声をかけるカキン王の視線の先には、ベンジャミンの背後の、虫にも似た守護霊獣がいる。

スポンサーリンク



怒れるベンジャミン

(殺す!!!!!)

 

ベンジャミン様退席なさいます、第一エリア警戒レベル最大、とアナウンスが流れる中、ベンジャミンがシャツを脱ぎながら廊下を歩いていく。

 

(今すぐ殺す!!!)

(全員殺す!!!!)

 

(下船など到底待てぬわ!!!!)

 

ベンジャミンは筋骨隆々の上半身を晒し、バルサミルコ(施設兵隊長)にツェリードニヒ王子(第4王子)を連れて来いと伝えるように、傍らの警護兵に命令する。

手段は問わないが殺してはならない。ベンジャミン直々に殺す、と付け加える。

 

無線で伝える警護兵。

ベンジャミンの本質

1001号室。

 

自らも念を使うベンジャミンは、バルサミルコの言う、寄生型の念が王子全員に憑いているという事実が信じられないでいた。

 

バルサミルコは儀式の当事者が念獣を見ることが出来ない制約、もしくは条件の不足を推測。

既に警護兵がほぼ全滅したにも関わらずワブル王子(第14王子)は死んでいないことから念獣のまだ知らない生態がありそうだと続ける。

 

バルサミルコは、壺虫卵の儀を攻略するカギは念獣の生態を他の王子に先駆けて正確に把握することであり、その前に行動を起こすことは危険だとベンジャミンに忠告する。

 

ベンジャミンは、今すぐにでも他全員の王子を殺そうといきり立っていた自分に、待てというのかとバルサミルコに問う。

 

バルサミルコは肯定し、主な理由は二点あると前置きして説明する。

 

敵がベンジャミンには視えない念獣なら単独行動は危険で、警護兵の護衛計画の大幅な練り直しが必要になるのが1点目。

 

そして緊急コールにより『念獣』と『念能力』が全王子及び全警護人の共通認識になって自分たちの優位性は消えたのが2点目。

 

テーブルについているベンジャミンとバルサミルコ。

 

なるほど、ハンターか、と冷静にバルサミルコからの情報を受け止めるベンジャミン。

 

自分たち警護兵よりもずっと上手の念の使い手だが、ハンターにとって王子の護衛は二次的な任務であり、カキンの内部事情にも疎いために、情報戦では自分たちが圧倒的に有利だったと説明するバルサミルコ。

 

しかし緊急コールによって全警護人にとっての敵の想定が明確になり、念を使える者は警戒するようになった。

この状況では、当初想定していた『念による急襲作戦』の効果が無くなってしまうと続ける。

 

ここまで静かにバルサミルコの説明を聞いていたベンジャミンは深いため息をつく。

 

余計なマネを、と言ってから、解せないと呟く。

なぜ緊急コールで情報を館内にいる人間に共有したのかという疑問を発するベンジャミン。

緊急コールを行ったハンターはオイト王妃から壺虫卵の儀について聞いていたはず。

ベンジャミンは、念獣に関する情報を何故敵側の王子に渡したのかという疑問をバルサミルコにぶつける。

 

さすがベンジャミン殿、と受け、我々もそこに引っかかったと言うバルサミルコ。

 

抑止力の為と理由を推測し、実際に自分たちは計画が狂ってしまった。

ハンター本来の任務は暗黒大陸であり、船内での衝突を避けるために状況の膠着状態を狙った。

継承戦に消極的な下位王子の利害と一致する。

他のハンターも緊急コールに呼応して情報を共有する姿勢を示していたとバルサミルコは続ける。

 

バルサミルコの推測を理解したベンジャミン。

下位王子とハンターが事態の膠着化を望んでおり、今後はハンターが王子と念獣をどう扱うかで状況が違ってくると呟く。

 

バルサミルコはベンジャミンの言葉を肯定し、念獣とハンターの能力次第では脅威となり得ると指摘。

上位の王子達の私設兵に念能力者がいるかもしれず、念の存在を知った王子が念能力獲得に動くかもしれないと推測を進める。

 

ベンジャミンは少しの間をおいて、私設兵を全員この部屋に呼べとバルサミルコに命じる。

 

は、と命令を了解し、ニィ、と笑うバルサミルコ。

バルサミルコは、ベンジャミンは直情型で誤解されやすいが理詰めで話せば的確な判断をするとし、剛柔備わったベンジャミンこそ王としてカキンを導いていける唯一人の存在だと考えていた。

 

部屋のテーブルに一堂に会する14人の私設兵たち。

 

ベンジャミンは、集まった各兵に対して王室警護兵として今任務に就いているメンバーと交代してもらうと命令。

任務は現行の王室警護兵の任務である各王子の護衛と観察、報告に加えて、念獣とハンターの能力の把握とし、敵が襲ってきたりその意思を見せた場合は防衛権行使による武力制圧、敵の殺害を許可すると続ける。

 

「一切承知(イエス!! サー!!)」

14人の私設兵たちが揃って返事をする。

 

ベンジャミンはバルサミルコに自身の守護霊獣が見えるかどうかを問う。

 

バルサミルコは、次の王にふさわしい雄々しい霊獣だと答える。

 

ベンジャミンの両肩に乗っていた守護霊獣が、口らしき場所をまるで笑ったように歪ませる。

スポンサーリンク



第2~第5までの王子の動き

チョウライは自室で、ベンジャミンから送られてきた警護兵と自分の警護兵がやりとりしているのをよそに一人で思考を巡らせていた。

ベンジャミンが私設兵の精鋭を各王子の元に王室警護兵として投入してきたことを察したチョウライ。

軍事最高副顧問のベンジャミンの私設兵だけは正式な国王軍兵なので王室警護兵としての配属が可能。

 

この対応を、緊急コールを受けての処置だと感じたチョウライ。

(これはネンジュウについて知る好機とみた…!!)

 

カミーラは王室警護兵を目に入る所に入れるな、母を呼べと警護兵に命じる。

 

テータの指南の元、念の修行を行っているツェリードニヒ。

警護兵がベンジャミンと同じ母を持つツェリードニヒにはベンジャミンの要請にしたがう必要はないと尋ねる。

ツェリードニヒは「『馬鹿め』と伝えろ」と簡潔に拒否。

 

ツベッパも緊急コールをしたハンターが場の停滞、膠着状態を狙っていることを喝破。

傍らの警護兵に、そのハンターの情報収集に当たらせる。

 

1014号室。

 

ワブル王子の泣き声が響く。

オイト王妃はワブル王子を抱いている。

 

サイールドの能力を使って他の王子を調べられるのでは? とビルはクラピカに提案する。

 

クラピカは、それが可能であると指摘しつつも、必要な情報、ターゲットを絞らないと本来の任務である警護がおろそかになるリスクを長時間負うことはできないと返す。

 

国王軍に管理された船内電話での通信は危険。

警護用無線も各王子の警護ごとにチャンネルが固定され、他の警護兵とは交信ができない。

王子居住エリアに持ち込めなかった別の無線が用意できれば情報やりとりが出来るが、2人では何をするにも人手が足りない。

 

1014号室のチャイムが鳴らされる。

 

ベンジャミンの王室警護兵だろう、とクラピカ。

内心では、ただでさえ厳しい現状で、新しい監視人が来ることでさらに厳しい状況になることを覚悟している。

 

側女がドアホンに出ると、第一王子帰属の王室警護兵ビンセントだと挨拶が返ってくる。

 

オイト王妃は、授乳したばかりにも関わらず泣き続けるワブル王子の様子から、眠いためかもしれないからベッドに行くとクラピカとビルに伝える。

 

「心得ています」

クラピカは即答し、王室警護兵には玄関エリアを担当させ、現状のシフトは崩さないようにしましょうと続ける。

 

了解したビルがふと部屋の入り口に視線を送ると、異変を察知して走り出す。

 

玄関に向かうビルの動きを追ったクラピカも異変に気付き、ビルに王子を守るように指示しながら玄関に駆け寄る。

 

「いや~~間一髪でした……ええ」

口から血を流す側女。

左手で握ったナイフで自らの心臓を突いている。

ビンセントと名乗った王室警護兵は、その側女の背後から肩を抱き、もう片手で小ビンを持っている。

いきなりナイフで襲ってきてやむなくやった。そして、一服盛るつもりだったらしき毒物らしき小ビンの所持も確認したと続ける。

 

「という訳で防衛権を行使させていただきました ええ」

不敵な笑みを浮かべてクラピカと対峙するビンセント。

 

(監視ではなく刺客か…!!)

クラピカは戦闘態勢をとった。

 

次回第364話に続きます。

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA