タイムスリップオタールって漫画がぶっ飛んでて面白いです。
どーも自分です。
このタイムスリップオタガールはCOMICポラリスでWEB連載されている漫画。人気になってますね。
腐女子なオタクが主人公なので女性向けではあるのだが、男が読んでも何の問題もなく楽しめる。
ましてやオタク的な趣味を持っているなら多かれ少なかれ共感できるのではないだろうか。
目次
タイムスリップオタガールのあらすじ
夏。最大の同人誌即売会であるコミュケに地方から参戦し、同人誌と言う名の戦利品をしこたま買い込み、主人公の城ケ崎はとこは、ほくほく顔で帰りの電車をホームで待っていた。
列の先頭で、楽しかったコミュケを脳内で反芻していると、人でぎゅうぎゅうに詰まったはとこの後ろの列が背後から勢いよく押し出され、はとこはプラットホームから飛び降りるような形で投げ出されてしまう。
そこにタイミング良く到着する電車。
――死ぬ。
せめて迷惑にならないように、同人誌はまき散らさないように、とぎゅっと同人誌を抱き、電車に跳ねられたまさにその瞬間、はとこは前日の開演前のアイドルミュージカル会場に戻っていた。
戸惑いながらも、もう一度アイドルのミュージカルをDVD化する前に生で楽しめることを喜ぶ生粋のオタクは再び同じ時間の流れに身を任せ、同じ流れで電車に跳ねられる。
タイムスリップしてしまっていることを学習したはとこは帰りの電車をりんかい線からゆりかもめに変更し、無事実家へと帰ることに成功する。
しかしはとこは二階の自室へ向かう階段で足を滑らせ、後頭部から真っ逆さまに落ち、再度タイムスリップ。
今度のタイムスリップ先はコミュケに向かう前日、勤務中のバイト先だった。
なぜ2度も戻ったコミュケ前日のアイドルミュージカル会場ではなく、そのさらに3日前に遡っているのか。
導き出した仮説は、より高いところから落ちればより昔に遡るということだった。
東京に出発する当日、はとこは自転車でバス乗り場に向かっているとトラックに跳ねられる。
今度の日付は1996年。はとこは中学生に戻っていた。
30歳までに収集した同人誌を失ったことを嘆くも前向きに第二の人生を歩むのだった。
あくまでオタクとしてのアイデンティティは忘れずに……。
タイムスリップオタガールの感想
タイムスリップ、あるいはタイムリープものはギャグ要素があっても最終的には感動的な話に落ち着くことが多く、名作は数知れず存在する。
メジャーなタイトルでは「バックトゥーザフューチャー」、「ターミネーター」、「時をかける少女」。最近なら「君の名は」。
あと18禁ゲームだが「この世の果てで恋を歌う少女YU-NO」「シュタインズゲート」「マブラヴオルタネイティブ」などがタイムリープ要素がある名作として思い出す。
感動する作品が多いと思う。
しかしこのタイムスリップガールに関してはタイムスリップはもちろん重要なギミックなのだが、それ以上に主人公の筋金入りのオタクとしてのハンパない加速度の思考量こそが最重要だと思う。
加速する腐女子としての膨大な思考量に圧倒される
冒頭、電車に跳ねられる直前、猛スピードで迫っているはずの電車がやけにゆっくり迫り、確かな死を悟ったその刹那にはとこの脳内を稲妻の如く迸る、リアルなオタク女子ならではの思考量は圧倒的だ。
引用する。ちょっと長くなるが、これは長くなければ意味がない。
駅のロッカーに預けたままのミュージカルのパンフと限定グッズと生写真と乙女ロードで買った同人誌はどうなるの!?
待って! 遺体回収の時に今さっき買った同人誌も回収されるの!?
遺品整理で押入れの同人誌の山を見られてPCの中も見られるの!?
学生の時に出した二次創作ホモのコピー本の売れ残りも出てくるよ!
調子に乗って描いた絵とかもいっぱいあるよ!
SNSの落書きもつぶやきもホモだよ!!
やめて!! 見ないでええええええ!!
『ホモ好き』なんて知られた日にゃ母の目からハイライト「スゥ」って消えるわ!!
イヤアアアアそんな眼で見ないでええええっっ
二度死ぬ…!! いや 何度死ぬかわからない!! 死ねない
遺品回収の時にまぐわう裸体の男子の神絵師同人誌で各所にご迷惑をおかけするわけには
あああやばい でも 間に合わない
ならせめて 何より好きな
同人誌だけは公共の場に散乱させてご迷惑をおかけするわけには!!
私が身体で守らなきゃちくしょおおお
長く引用したが、これは佐々木陽子先生が赤裸々に代弁している、全てのオタクが潜在的に抱えている心配事であり、心の叫びだろう。
常にこの種の心配事が心中になければこんなにも具体的にオタク女子としての描き出すことなど出来まい。
ネット上において、もはやミームっぽくなっている
死んだら「HDD破壊」「PC破壊」
をさらに具体化させたオタクの叫び。
まず、この作品のこういうところに共感が集まるのかなと思う。
上記のはとこの脳内の思考の奔流を男に変換してみる。
駅のロッカーに預けたままの「アイドル」の限定グッズと生写真と「とらのあな」で買った同人誌はどうなるの!?
待って! 遺体回収の時に今さっき買った同人誌も回収されるの!?
遺品整理で押入れの同人誌の山を見られてPCの中も見られるの!?
学生の時に出した二次創作「ロリ」のコピー本の売れ残りも出てくるよ!
調子に乗って描いた絵とかもいっぱいあるよ!
SNSの落書きもつぶやきも「ロリ」だよ!!
やめて!! 見ないでええええええ!!
『「ロリ」好き』なんて知られた日にゃ母の目からハイライト「スゥ」って消えるわ!!
イヤアアアアそんな眼で見ないでええええっっ
二度死ぬ…!! いや 何度死ぬかわからない!! 死ねない
遺品回収の時にまぐわう裸体の「女子」の神絵師同人誌で各所にご迷惑をおかけするわけには
あああやばい でも 間に合わない
ならせめて 何より好きな
同人誌だけは公共の場に散乱させてご迷惑をおかけするわけには!!
俺が身体で守らなきゃちくしょおおお
ちなみに、別に自分はロリコンじゃないんで。
これは大して考えもせずに埋まった。適当だけどそこまで違和感はないと思うけどどうだろう。
これは、何かしら背徳的な分野のオタクであればあるほど簡単に穴を埋められるんじゃないだろうか。
悲壮感ゼロで腐女子としてのアイデンティティをポジティブに貫く
オタクとして青春を歩んできた自分を全く悔いていないというか、自分=オタクで全く揺らいでいない姿勢のはとこが見ていて気持ち良い。
現在大人のあなたに問うが、もし自分の記憶、知識や経験などを全て持った上で中学時代に戻ったらやり直したいことの一つや二つはあるだろう。
しかしはとこは、アラサーでパート先でロクに会話に加われないほどの陰キャラで、オタク活動以外では全く輝けていない。
本来、会話に加わろうが加わらなかろうが、当人さえ良ければそれで良いはずなのだが、現代日本社会においては会話に加われず一人でいる人を可哀想と見る向きがあり、勝手に、そして自然に社会人としてのランクを下げられてしまいがちだ。
現在陰キャラの大人は中学の時も陰キャラだった人が多いだろう。
そうなると、中学時代に戻れたなら前とは違う行動を心がけて以前より良い人生を求めると思う。
実際、はとこも折角タイムスリップしたんだから前より良い人生をという意識を持つのだが、しかし、結局はオタクとしての自分を貫くことが最優先順位となる。
前の中学時代より自然と家族に対しても学校でほかの生徒に対しても好ましく振舞うのだが、それは本人がほとんど意識していないレベルで起こっている変化である。
30歳の頃には働いていたが、中学時代は働かなくても良いことに快哉を叫ぶ。
1年前に亡くしていたおばあちゃんが、中学時代には当然生きている。そのおばあちゃんを見て感激。
母の苦労を思いやる想像力があるため、以前とはうって変わって素直に母の言う事を聞くようになり、長年切れと言われていた髪をあっさり切り落とす。
学校では男子生徒といる事をからかわれても全く平気。むしろ堂々とすることで魅力アップ。
などなど、本人にとってタイムスリップ後の人生が明るくなる兆しが出てくる。
ただ、手元には30歳の頃までに貯めていた膨大な同人誌のコレクションが無い。
それらは当然、中学生の自分の手元にはひとつも無い。
それを実感し、心から嘆き悲しんでいるのが笑える。オタクとしてのアイデンティティがまるでブレてない。
オタク一切辞めてリア充になろうという気が全く見えないのが良い。
とにかく主人公の感情の起伏がジェットコースターで、見ていて飽きない。
身に染み込んでいるオタクの良識
はとこは、30歳までに得た絵の巧さを中学時代からさらに磨いて小説の挿絵を描くイラストレーターになろうか、とも一瞬考える。
しかし、前の人生で元々組んでいたバディの組み合わせを私が崩していいのか?
それを読むはずだった読者の運命が崩れる。
私の安い理由(賞金目的)でそういうの邪魔してはいけない、とオタクとしての良識が働いてイラストレーターを目指すことをやめる。
普通ここまで考えるか?
やはりオタクとしての自然な思考なんだろう。オタクの鑑だ。
30歳前後に響く懐古要素
あとは中学生に戻ってからの懐かしいアニメや、ネットが無かった頃の同人誌との関わり方などにも「懐かしい」と思わせる要素が満載で、30代前後のオタクには堪らないものがあるのだろう。
1996年。
アニメで言うとガンダムシリーズはWで、NHKでは飛べイサミ。レッツ&ゴーもやってるし、初期のコナンが放送されている。
ビデオデッキがビデオを吸い込むあの感じ。
そして読む雑誌は古い当時のアニメージュ。
ネットが無いから同人誌を手に入れるために「無記名小為替」を使うことなど、これは自分は全く知らなかったけど当時使っていた人にとっては懐かしいんだろうなぁ。
ずにあという同人誌紹介雑誌を思い出し懐かしがっているが、これは「コミックボックスJr.」という雑誌のことらしい。
参考:http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170120-00010007-otapolz-ent
うーむ。濃ゆいわ。
ネタが何処まで出るか。はとこの運命は?
懐古ネタは果たしてどこまで出るのか。
最初から結構飛ばしてるように見えるけど、そんなにたくさん懐古ネタがあるのかな。
今のところ話の内容からオタク女子のギャグ漫画の体を成しているが、成長物語になっていくのだろうか。
それでも面白いけど、やはり1話冒頭のテイストをどこまでもクオリティを高く保って欲しいな。
オタク思考の洪水を読者の脳内に流し込んで、その勢いで笑わせて欲しい。
タイムスリップ後は13歳の中学生になったので、今後修学旅行や高校受験をはじめとして各種イベントが山盛りなわけだ。
とりあえずオタクとしての行動が見れたら良い。プラスして人間的成長もあればなお良し。
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